決算書の見方をわかりやすく解説! 初心者が株購入で見ておくべきポイント

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貸借対照表(B/S)は、自己資本比率と流動比率をチェック

貸借対照表はバランスシートともよばれ、B/S(Balance Sheetの略)と表記されます。

貸借対照表を見ることで、ある時点での財産の状況がわかります。財産は、現金・預金などのプラスの財産だけではなく、借金などマイナスの財産も含めますので、差し引きでどのくらいの財産があるかを確認できます。

貸借対照表

貸借対照表
表:筆者作成

このように、左側に資産、右側に負債と純資産をまとめます。

資産には、企業が保有する現金、預金、建物や土地などがあります。
負債には、銀行からの借金が代表的なものです。
純資産は、経営者が会社の設立時に出した資本金や利益です。

投資先を選ぶ際、まず確認したいのが自己資本比率です。
資産がいくらあっても、借金も大きければ純資産は少なくなります。
純資産=自己資本が小さすぎるのは、健全な財務状況とは言えません。自己資本比率は50%を目安に判断するとよいでしょう。

ただし、事業を拡大する目的で借入れをしたばかりなど、タイミングによっては自己資本比率が一時的に小さくなっている場合もあります。そのため、総合的に判断することが大切です。
借入れをどこからして何に使っているのか、それは何のためかなど、しっかり見るようにしたいですね。

貸借対照表を詳しくみていくと、資産と負債にはそれぞれ流動、固定のものがあります。
例をあげてみましょう。

・流動資産:現金、預金、在庫商品など、すぐに現金にすることができるもの
・固定資産:土地、建物など、すぐには現金化できないもの

流動資産とは、だいたい1年以内に現金化できるものを指します。現金・預金はもちろんのこと、在庫の商品も売ればすぐに現金にすることができます。
固定資産は現金化するのに時間がかかるものです。不動産のほか、運送会社のトラックや、製造業の工場なども固定資産です。

・流動負債:すぐに払う必要のある短期の借入金や、分割払いの未払い金など
・固定負債:返済期限が1年以上先の長期借入や社債など

負債についても、流動負債は1年以内に返済する必要のあるもの、固定負債は返済が1年以上先になっているものになります。
流動負債はすぐに返す予定なので、返済のためのお金は流動資産で持っていないと心配ですね。手元にお金がないと、いくら不動産などの資産があっても現金化できなければ返すことができません。

そこで、確認するべきなのが流動比率です。
流動比率は、流動資産を流動負債で割って計算します。

流動比率=流動資産÷流動負債×100

流動負債の金額と同額の流動資産があれば、流動比率は100%です。
基本的に、流動比率が100%を超えていれば安全、200%以上が望ましいとされています。

ただし、流動比率は高ければいいとばかりは言えません。企業の信用がなくて借入れができなければ流動負債は少なくなるため相対的に流動比率が高くなりますが、そのような企業の将来性は厳しいのではないでしょうか。

流動比率もまた数字だけではなく、なぜその比率になっているのか、理由も読み取っていかれるようになると理想的です。

損益計算書(P/L)は営業利益を重視して

損益計算書は、売上げと費用、利益についてまとめられた表です。英語ではProfit & Loss Statement(=利益と損失の計算書)といって、P/Lと表されます。
売上げから、各費用を差し引いて、最終的な利益はいくらなのかがわかります。

損益計算書

損益計算書
表:筆者作成

損益計算書では、1年間の売上高が計算のスタートになります。
家具の製造販売をしている企業を例に考えてみましょう。計算しやすくするために、売上高を1000万円とします。

売上高 1000万円

売った商品の材料を仕入れた代金は、売上原価という費用です。仕入れに300万円かかったとすると、商品の売上総利益は1000万円から300万円を差し引いた700万円になります。

売上原価 300万円

売上総利益=売上高(1000万円)-売上原価(300万円)=700万円

商品を売るための費用は、仕入れのお金だけではありません。製造工場、運送、倉庫、販売店のテナント家賃、従業員の人件費もかかります。合計で500万円かかったとしましょう。
このような費用は販売費及び一般管理費として計算されます。

売上総利益からこれらの費用を差し引いたものが、本業での利益=営業利益になります。

販売費及び一般管理費 500万円

営業利益=売上総利益(700万円)-販売費及び一般管理費(500万円)=200万円

本業での利益が上がっていることはとても大切です。損益計算書では、営業利益を重視してチェックしましょう。

さて、法人が利益や損失を出すのは本業だけではありません。
預金があれば利息の収入があります。企業として投資をしてうまくいけば収入になりますが、損失を出すこともあるでしょう。不動産を所有していれば、賃貸にして収入を得ることもできます。本業の支えになるような利益があると、安定した経営ができると考えられます。

例年、100万円の利益になっているなら、営業利益にプラスできます。
これは、税引前利益となります。

税引前利益=営業利益(200万円)+本業以外の利益(100万円)=300万円

また、特別なことのために利益や損失が出る場合もあります。不動産や株式を売れば利益になり、火事などの災難があれば損失になりますが、これらはいずれもその年に特別にあったことです。

不動産を売って500万円の利益が出たら、税引前利益はさらに増えます。

税引前利益=営業利益(200万円)+本業以外の利益(100万円+500万円)=800万円

1000万円の売上げがあって、税引前利益が800万円という部分だけ見ると、とても利益率が高いように思ってしまいそうですね。しかし、これは本業で儲けた利益ではなく、不動産売却をしたために一時的に膨らんだ利益です。

損益計算書では利益・損失の理由をチェックして、一時的なものなのか、今後も継続するものなのか、見極めることが大切になります。

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タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

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