【扶養控除の基礎知識】103万円 or 130万円?ボーダーラインの見極めが肝心!

【扶養控除の基礎知識】103万円 or 130万円?ボーダーラインの見極めが肝心!
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パートやアルバイトをするときに意識したい、年収103万円と130万円のボーダーライン。今回は、扶養控除の基礎知識として年収のボーダーラインを解説します。年収103万円と130万円ではどう違うのか、それぞれにどんなメリットがあるのか…税金や社会保険をふまえたうえでの“働き損にならないボーダーライン”を考えてみましょう。

年収103万円と130万円では何が違う?

収入には“税金の壁”と“社会保険の壁”があります。まずは103万円と130万円がそれぞれどちらの壁にあたるかチェックしましょう。

ボーダーラインその1:年収103万円は“税金の壁”

年収103万円は、超えると税金がかかってくる“税金の壁”にあたります。103万円をボーダーラインに税金面の差が出るため、ひとつの壁として意識しましょう。

所得税は、正社員だけでなく非正規雇用者であるパートやアルバイトにも課税される税金です。年収が103万円を超えた場合は、超えた金額に対して所得税がかかります。

所得税がかかる金額を出すには、年収から基礎控除と給与所得控除を引きます。年収115万円の場合を例にすると、基礎控除は48万円、給与所得控除は55万円です。(2023年1月現在)

<年収115万円の場合>

115万円-48万円+55万円=12万円

つまり、年収が115万円なら12万円に所得税がかかります。基礎控除と給与所得控除の合計が103万円なので、年収が103万円以下の場合は所得税がかかりません。

2020年以前は基礎控除が年収に関わらず一律38万円でしたが、2020年以降は税制改正により年収ごとに控除額が決まっています。年収が2400万円以下なら基礎控除は48万円で、2400万円を超えると控除額は少なくなります。

給与所得控除については、最低額が65万円から55万円に変更されました。年収2400万円以下の場合のみで考えると、2020年の前後どちらでも控除額の合計は103万円と変わっていません。そのため、“税金の壁”である103万円に対する考え方も変わらず意識する必要があります。

ボーダーラインその2:年収130万円は“社会保険の壁”

年収130万円は、超えると社会保険に加入することになる“社会保険の壁” にあたります。扶養に入っていれば社会保険料の支払いが免除されますが、年収が130万円を超えると自身で社会保険に加入し、保険料を支払うことになります。

社会保険は健康保険や年金保険などの総称です。年収が130万円を超えて扶養を外れると、自身が住む市区町村の国民健康保険か勤務先の健康保険に加入します。年金については自身で国民年金保険料を支払うか勤務先の厚生年金へ加入することになります。

年収130万円は、社会保険の保険料の支払い義務が発生するボーダーラインとして意識しましょう。

年収103万円と130万円のメリット&デメリット

続いて、年収103万円と130万円のメリットとデメリットを見ていきます。年収103万円以下と、103万円より多く働く130万円未満、2つのケースについてそれぞれチェックします。

年収103万円以下:メリットは税金の負担を抑えられること

年収103万円以下で働くことのメリットは、所得税がかからないことです。103万円を超えた分に対しては所得税がかかってくるので、税金を払わず働きたい人は103万円以下のボーダーラインを意識しましょう。

また、扶養内で働いていれば扶養者である配偶者が配偶者控除を受けられることもメリットのひとつです。配偶者控除は、年収が一定額以下の配偶者を扶養する納税者の所得税が減額される制度のこと。たとえば、自身が夫の扶養に入っている場合は夫の税金負担を抑えられる、ということです。

似たもので配偶者特別控除という制度もありますが、適用条件がそれぞれ異なります。どちらの制度が適用されるか、適用の可否については配偶者の条件によって決まります。

年収103万円以下:デメリットは収入や勤務先に制限があること

年収103万円以下で働くことのデメリットは、収入の制限が大部分です。たとえば「103万円以下だと収入としては足りない」「時間の余裕があるのに103万円を超えそうで働きたくても働けない」と感じる人には大きなデメリットと言えます。

また、年収を103万円以下に抑えることで勤務先の選択肢が狭まることもデメリットです。勤務時間や日数の制限から、希望の勤務先がなかなか見つからなかったり、キャリアアップできなかったりする可能性が考えられます。

年収130万円未満:メリットは収入と勤務先の選択肢が増えること

年収103~130万円未満の範囲で働くことのメリットは、103万円以下と比べて収入が増えることです。103万円を超えることで所得税を負担する必要はありますが、所得税を考えてもトータルで見れば収入が増えたと言えます。

また、年収を引き上げることで勤務先の選択肢も増えます。たとえば、これまで103万円以下を意識して週3勤務までの選択肢しかなかった人が、週4勤務も選択肢に入れられるなど。より多くの選択肢から勤務先を選びたい人にとっては大きなメリットになります。

年収130万円未満:デメリットは税金の負担分と勤務時間が増えること

年収103~130万円未満の範囲で働いた場合、所得税の発生と勤務時間の増加がデメリットです。こちらについては、「所得税を払ってでも収入が増えたほうがいい」「勤務時間が増えてもあまり負担に感じない」など考え方に個人差があるので、デメリットにならない場合もあります。

働き損になりたくないなら130万円未満を意識して

メリットとデメリットをふまえたうえで、働き損にならないようにするには“年収130万円未満”を意識するのがおすすめです。130万円未満なら扶養内なので社会保険料の負担がなく、所得税が発生するもののトータルで考えると収入自体は増えます。

しかし、年収が130万円以上になると所得税と社会保険料の両方を負担することになります。社会保険料は年間で数十万円の負担となるため、年収130万円以上はレッドゾーンです。

年収130万円以上で考える場合は、少しだけではなく大きく超えるほど損が減ります。たとえば自身で国民健康保険と国民年金に加入する場合、年収は170万円以上で手取りの減少が落ち着いてきます。勤務先の社会保険に加入すれば170万円以上働かなくても手取りが減らない、というケースもあるので、状況に応じたボーダーラインの見極めが必要です。

負担をなるべく抑える“賢い働き方”を考えてみよう

年収103万円や130万円などのボーダーラインを意識せずに働くと、手取りが減って働き損になる可能性があります。働き損にならない年収は、一般的に言えば130万円です。これからパートやアルバイトを始める人、勤務時間や日数を増やす予定がある人は、税金や社会保険の負担をなるべく抑える働き方を考えてはいかがでしょうか。

メロンサイダー

1児の女の子を子育てしながらライター業務に励む日々。 ライフスタイルや美容関連の情報集めが趣味♪好きな食べ物はメロンで、甘いものも野菜っぽい味のものも好き。

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