住宅ローン返済中にがんになったらどうなる?借入前にしておくこととは
がんなど大病を患ったときの心配事に、住宅ローンの返済があります。がんになったことで収入が減り、家計のやりくりが困難になる場合もあるからです。これから住宅ローンを利用しようとしている人にとっても長期間の契約は不安になるもの。
そこで今回は、住宅ローンの借入前にできるがんの備えについて紹介します。
【がんになったときの家計とは】
治療のために会社を休んだり退職したりすると、収入そのものが減少する一方、支出は普段の生活費に医療費がプラスされます。
それは一時的なことではなく、告知からの1年間は検査に手術、治療の開始と目まぐるしく、その後も積み重なる治療費が財布を圧迫します。
がん種類別の平均費用(入院) 単位:円
出典:厚生労働省 医療給付実態調査(平成27年) 統計表 第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)
この他にも、入院中の食事代や差額ベッド代、退院後にもリハビリなど意外な費用がかかります。
また、家族のためにかかる費用も考えておく必要があります。たとえば、自宅で介護をしている親を短期的に施設に預けたり、ベビーシッターを頼んだりすれば、医療費以外の出費も予想外にかさみます。
このような状態でも、当然のことながらローン返済は続きます。
家計の中で大きな割合を占める住宅ローン。もしも返済が滞ってしまったら、最悪の場合には家を手放す可能性も。そうならないために、前もってできる備えが大切なのです。
【備え方①保険でカバーする】
一般的に銀行でローンを組む際は、団体信用生命保険(団信)への加入が条件です。
住宅ローンを組んだ人がローン返済途中で死亡または高度障害などになった場合に、生命保険会社が残ったローンを契約者に代わり金融機関に支払う仕組みとなっています。
団信にはいくつかの種類があって、「疾病保障付き住宅ローン」のような大きな病気に対応できる保険を選ぶことも、前もってできる備えのひとつです。
「疾病保障付き住宅ローン」とは、特定の病気になると保険金が支払われ、ローンの返済が不要になるというものです。がんや脳卒中、急性心筋梗塞など、いわゆる三大疾病を対象としたものや、高血圧症や糖尿病、慢性腎不全など特定の病気を対象としたものもあります。
最近では、がんと診断されるだけでローン残高が半分になる「がん50%保障団信」が注目を浴びています。金利の上乗せがない商品が多いので、検討する価値はあるでしょう。
がん細胞が上皮内(組織の表層部分)にとどまっている状態の「上皮内新生物」は、治療を行えば、ほぼ完治できるものであり転移や再発の可能性もほとんどないといわれています。
そのため、団信の内容によっては「上皮内新生物」は保障の対象外になることがあります。また、申し込みできる年齢が限られる場合があることにも注意が必要です。
がんになったときの医療費の負担を軽減するために、がん保険への加入も検討したいところです。がんと診断されると給付される「診断給付金」は、治療費のみならず当面の生活費やウイッグなど外見を整える費用にも使えて助かります。
【備え方②ふたりでローンを組む】
結婚している場合、ひとりで住宅ローンを組むのではなく、夫婦ふたりでローンを組む家庭もあります。夫婦それぞれが収入に応じた金額を借り入れるペアローンでは、ひとつの住宅に対して2つの契約を結ぶことになります。
そのため、住宅ローン控除や団信は夫婦それぞれに適用されます。
ただそうなると、万が一の時には一方の住宅ローンが保険金で返済されても、残された家族は自分の持ち分の返済が続きます。
その不安をカバーするため、夫婦どちらかが死亡した場合に住宅ローン残高がゼロになる「夫婦連生団体信用生命保険」の取り扱いがある金融機関もあります。
【まとめ】
がんになると、治療のことだけでなく仕事や家族、かかる費用についても考えなければなりません。
すでに加入している団体信用生命保険が、一般的な死亡・高度障害のみを保障するタイプであっても、契約の途中で疾病保障付きに変えることは残念ながらできません。住宅ローンを組む前だからこそできる備えを調べておきたいですね。