住宅ローン減税延長へ!しくみと変更点、得する条件をチェック

住宅ローン減税延長へ!しくみと変更点、得する条件をチェック
マイホーム・住宅ローン

2020年の新型コロナウイルスの問題は、私たちの暮らし方や働き方を見直すきっかけになりました。テレワークが進み在宅での仕事が増えると、今までの住まいでは手狭だと感じる人も多いのではないでしょうか。これから住宅を購入しようとするなら、減税になるしくみを使って、住宅ローンを上手に返済しましょう。

今回はそもそも住宅ローン減税とは何なのか、今回の見直しで何か変わるのかを中心に住宅購入にあたって検討すべき視点を考えていきます。

住宅ローン減税の要件と基本的な仕組み

住宅ローン減税とは、一定の要件を満たす住宅ローンを組んで購入したり、増改築を行ったりした場合に住宅ローンの残高に応じて支払った所得税や住民税の一部が戻ってくる制度です。確定申告で手続きすると、住宅ローンの年末残高の1%にあたる金額を、原則10年間税金から差し引くことができます。

また特例措置として、個人が家屋について消費税の税率10%で取得した場合で、一定期間(2021年9月末または11月末まで)に契約し、2022年12月末までに入居した際は住宅ローン減税が13年間に延長されます。

住宅ローン減税が受けられる主な要件として

・自ら居住すること
・新築や購入してから6か月以内に住むこと
・住宅の床面積が50㎡以上であること(改正により一部緩和)
・控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること(改正により一部緩和)
・返済期間が10年以上の住宅ローン等の借入れがあること
・既存住宅の場合、耐震性能を有していること
・5年間に居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得課税の特例などを受けていないこと

などをすべて満たす必要があります。

この減税を受けるためには、一定の書類を添付して確定申告を行うことが必要です。会社員などの給与所得だけの人は、2年目以降は会社の年末調整で手続きが済みます。

住宅ローン減税のしくみ

住宅ローン減税は、住宅ローン年末残高をベースにして計算されます。新築の場合、一般住宅では4000万円が限度額になります。認定長期優良住宅・認定低炭素住宅では、一般住宅より1000万円上乗せされて5000万円が上限になっています。

たとえば新築の一般住宅を取得した場合なら、
4000万円×1%=40万円
が年間の最大の控除額になります。

減税額は1~10年目の10年間で最大400万円、拡充される特例では11~13年目の3年間で最大80万円が戻ってくる計算になります。

住宅ローン減税の仕組み
表:筆者作成

ただし、そのまま税金が戻ってくるとは限りません。まず減税は基本的に1年間に支払う税金のうち所得税で行います。もし、所得税から引ききれなかった額があれば、翌年の住民税から差し引きます。しかし、住民税には制約があり前年課税所得の7%、上限13万6500円までとなっています。この結果、住宅ローンの年末残高から計算した40万円より少ない減税額しか受けられない場合があります。

所得税の控除イメージ

所得税の控除イメージ
表:筆者作成

所得税と住民税の控除のイメージ

所得税と住民税の控除のイメージ
表:筆者作成

実際の住宅ローン減税の計算は、収入の中から給与所得控除や社会保険料や所得控除になる扶養控除、生命保険料控除などを差し引いた金額がベースになるので、同じ収入の人でも家庭の状況によって、減税になる金額は変わってきます。

2021年税制改正で住宅ローン減税はどうなった?

2021年の税制改正では、住宅ローン減税特例が期間延長、対象床面積が40㎡以上に拡充されることになりました。

2019年に行われた消費税増税の影響を緩和するために、消費税10%適用の住宅を購入し、2020年末までに居住した場合に減税される期間が3年延長され13年間になりました。しかし新型コロナの感染拡大の影響により入居が遅れたケース(コロナ特例)では、2021年末までの入居まで延長するとしていました。

今回の2021年度税制改正では、落ち込んだ経済の回復を目的として、一定期間に契約を終え2022年末までに入居すれば住宅ローン減税特例の対象とします。具体的には、注文住宅は2021年9月末まで、分譲住宅や既存住宅は2021年11月末までの契約になります。この特例の延長の場合には、コロナの影響による入居遅延の証明は不要になっています。そのためコロナの影響がない新規の住宅取得者まで対象が広がることになります。

住宅ローン減税契約期限と入居期限
表:筆者作成

さらに条件緩和の動きもありました。従来住宅減税の対象となる床面積の要件が「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和されました。

これは単身や少人数の世帯が増えていることや、若い世代では比較的小型のマンションの需要が高まっていることなどによるものです。業界や国土交通省などからも小規模世帯に対する支援を要望しており、やっと実現した形です。
なお、床面積が40㎡以上50㎡未満とする住宅取得の場合には、その年の合計所得が1000万円以下の人に限られています。

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池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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