【Z世代のマネー学】日本人の資産は20年でいくら増えた? お金の置き場所を考える

日本人の資産は20年でいくら増えた? お金の置き場所を考える
マネーケア

日本人は昔から預金が大好きです。その傾向は、昔も今も変わっていません。昔はそれでもよかったかもしれませんが、ミレニアル世代・Z世代と呼ばれるみなさんがもしもお金を増やしたいのであれば、その考えは改めたほうがいいでしょう。

今回は、日本人の資産が過去20年間、どれだけ増えたかを通して、ミレニアル世代・Z世代の「お金の置き場所」を一緒に考えていきます。

日本人の資産合計は?

突然ですが、日本人の資産(個人金融資産)はどのくらいあると思いますか。
資産というと、お金(現金)を思い浮かべる方が多いでしょうが、それだけではありません。銀行への預金、資産運用のために購入した債券・投資信託・株式など、さらには保険や年金などの金額も含めたすべての合計です。

日本銀行「資金循環統計」によると、2019年末の日本人の個人金融資産の合計は1903兆円。1年間の国の予算がざっと100兆円(当初予算のみ)ですので、そこから考えると、結構持っているように思われるかもしれません。

では、この個人金融資産の内訳はどうなっているでしょうか。
日本銀行「資金循環の日米欧比較」では、日本・米国・欧州(ユーロエリア)の家計の金融資産構成をグラフで示しています。

家計の金融資産構成


図:日本銀行「資金循環の日米欧比較」より

日本の家計の金融資産の半分以上を占めるのは、現金・預金です。その金額は全体の54.2%、約1000兆円にものぼります。それに対して、債券・投資信託・株式等を合わせた資産運用の金額の合計は14.4%となっています。

これとほぼ反対の構成比なのが米国です。米国では、債券・投資信託・株式といった資産運用の金額が50.8%。実に約44兆ドル(4620兆円※1ドル=105円で計算)が資産運用に回っていることになります。特に株式の占める割合が大きいですね。
そのかわり、現金・預金の合計は13.7%。つまり、日本と米国では、現金・預金と資産運用の割合がほぼ反対になっているのです。

欧州は米国と日本の中間、といったところでしょう。現金・預金が34.9%、債券・投資信託・株式等の合計が27.9%となっています。

ミレニアル世代・Z世代がお金を増やすには「投資」が必要

みなさんは、もし手元に100万円があったとしたら、「現金・預金」と「債券・投資信託・株式」のどちらにお金を預けますか。考え方は人それぞれですが、おそらく現金・預金派が多いでしょう。

ミレニアル世代・Z世代の方の中には、「お金はできるだけ銀行に預けなさい」「投資なんてもってのほか」と言われて育った方も多いはずです。確かに、預金でも年数%の利息がもらえた昔は、それでよかったのでしょう。しかし、今はもう、それではお金は増えません。

現金・預金の多い日本、投資の多い米国、そして日本と米国の中間くらいの英国で、1997年から2017年までの20年間、どのように資産が増えたかを示すのが、次のグラフです。

各国の家計金融資産の推移(1997年〜2017年)


図:金融庁「つみたてNISA100万口座突破!」より

日本も米国も英国も、この20年で資産を増やすことができています…というと、よかったと思われるかもしれませんが、その増え方がまったく違うことは一目瞭然です。

日本ではこの20年間、運用の成果で資産を1.2倍にできました。金融資産の残高も、1324兆円から1854兆円と、およそ1.4倍に増やすことができたのです。
しかし、同時期の米国を見ると、運用の成果で資産が2.2倍になり、金融資産の残高も2.9倍、9040兆円にまで増加しています。英国も同様に、運用の成果で資産が1.8倍、金融資産の残高が2.6倍に。日本とは、勢いがまったく違います。

この差はどこから生まれるのか、もうお分かりですね。これは、投資が少ない日本と、投資の多い米国・英国の差です。

つまり、ミレニアル世代・Z世代のみなさんがお金を増やしていきたいと思ったら、自分のお金を投資に振り向けていくこと、お金の置き場所を預貯金ではなく投資にしていくことが大事なのです。

投資した元本が2倍になるまでの年数を簡単に計算する「72の法則」という公式があります。「72÷運用の利率」の答えが、元本が2倍になるおおよその年数となります。

金利0.001%の普通預金に預けたお金が2倍になるまでの年数は、72÷0.001%=72000年ですから、生きている間にはまず倍にはなりません。
しかし、仮に投資で年3%ずつお金を増やせたとしたら72÷3%=24年ですから、若いうちから少しずつでも投資をすれば、資産を倍にすることも夢ではありません。

ミレニアル世代・Z世代が味方にすべき「リスク」と「複利」

なぜ、投資でお金が増えるのでしょうか。それは、投資には「リスク」があるからです。
リスクというと怖い感じがしますが、そうではありません。投資の世界の「リスク」とは、「危険性」ではなく、「リターン(損益)のブレ幅」のことを指します。

リスクとリターンにはトレードオフの関係があります。つまり、リスクが大きいほど、大きく儲かる可能性も、損する可能性も出てくることになります。「ローリスク・ハイリターン」という、夢のような投資はありません。

銀行の預金は、減ることも増えることもほとんどないので、リスクもリターンも極端に低いといえます。それに対して投資をすれば、商品によっても異なりますが、年数%の利益を得ることも可能です。しかし、失敗すればお金が減ってしまう可能性もあります。預金に比べて、リスクもリターンも高い、といえるのです。ただし、後で説明しますが、投資の仕方次第でリスクを抑えながらリターンを狙うことはできます。

また、投資で得られた利益は、再び投資に回すことで、複利の効果を得ることができます。複利とは、投資の元本と得られた利息の合計に、新たな利息がつくことです(なお、投資の元本にしか利息がつかないことを「単利」といいます)。

銀行の預金につく利息も複利なのですが、なにぶん金利が低いので、複利の効果は全然期待できません。しかし、投資であれば、複利の効果を十分に期待できます。

続いて、ミレニアル世代におすすめの投資方法をご紹介します。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

プロフィール

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