奨学金は繰り上げ返済した方がおトク? 返済プランの立て方をFPが解説

貯金・家計

独立行政法人日本学生支援機構の「2016年度学生生活調査」によると、大学生(昼間部)48.9%(同調査結果 7.奨学金の受給状況)の人が何らかの奨学金を借りているという結果でした。それだけ多くの人が借りている奨学金ですが、奨学金の返済が長期に渡ることから、返済の途中でも繰り上げ返済をすることができます。
少しでも早く完済するために、繰り上げ返済すべきなのかどうか考えてみましょう。

繰り上げ返済した方がトク?

余裕資金ができたら、奨学金は繰り上げ返済すべきなのか、それとも貯蓄や資産運用した方がいいのか悩むところではないでしょうか。
奨学金を繰り上げ返済した方がいいかどうかは、奨学金の種類と貸付利率の種類により異なります。

利息がつかない第一種の奨学金であれば、繰り上げ返済した分だけ期間が短くなりますが、もともと利息がないのでトクとは言えません。
利息の付く第二種の場合は、繰り上げ返済することによって期間の短縮だけでなく、支払うはずの利息も少なくなるメリットもあります。

メリットの大きさは、貸付利率を考えなくてはなりません。
貸付利率が高い方が、繰り上げ返済のメリットが大きくなります。
貸付利率は貸与が終了した時の利率が適用されますので、下記の一覧表で確認しましょう。

利息付奨学金の貸与利率一覧


表:日本学生支援機構HPより筆者作成

繰り上げ返済した時としなかった時の差はどれくらい?

では、繰り上げ返済した時に、どのくらい利息の軽減効果があるのか見てみましょう。

例 毎月5万円の第二種奨学金貸与、定額返還方式にて返済
借用金額=5万円×12カ月×4年=240万円
2012年3月貸与終了 金利1.08%
返済金額 毎月約1万4500円
返済回数180回(15年)

総支払額 1万4,500円×180回=261万円

月払いの返済は10月から始まるので、卒業してから10年後の4月時点では、9.5年分が支払い済みになります。ここまでの期間で支払額が約165万3000円(114か月×14,500円)、総支払額261万から165万3000円を引くと残りの返済としておよそ96万円で、9.5年で144万円(借用金額240万−返済金額96万円)の元本を返済しています。

残り96万円を繰り上げ返済しなかった場合にかかる利息を計算してみましょう。

支払う利息は、次の計算式でおよその金額を出すことができます。
元金×金利(%)×期間(か月)÷2=利息支払額

96万円×1.08%×5.5年÷2=2万8512円…約3万円

繰上げ返済をしなかった場合には、あと5.5年かけて残り元本100万円と、約3万円の利息を払う必要があります。しかし、繰り上げ返済をすると支払は一括払いで元本のみになり、利息の約3万円分を払わなくていいことになります。

さらに約3万円がトクになる上に、返済回数を66回(=5.5年×12カ月)短縮できます。また、機関保証を選んでいる人は、繰り上げ返済した分の保証料の返還があります。

上記で出てきた約3万円はあくまでも簡易的に計算した残りの利息額です。

借入元本が大きいほど、借入期間が長いほど誤差は大きくなるのですが、数字のイメージをつけるには簡単な計算式です。

正確な数値を知りたい方は、シミュレーションツールなどを使って算出してみてください。

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黒須 かおり

ファイナンシャルプランナー CFP® 女性を中心に、一生涯を見守るFPとしてmoney&キャリアのコンサルティングを行う。幸せになるためのお金の知識...

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