今後も段階的な増税が!たばこやお酒離れで税金はどうなる?

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税収の減少により、増税になる?!

たばこ税や酒税の税収が減少した場合、私達の暮らしにどんな影響があるのでしょうか。
まず、たばこ税については段階的な増税(財務省「たばこ税等の税率」)が決まっています。2020年10月、2021年10月に1本あたり1円ずつ引き上げられ、1箱あたりで考えると、現在(2020年5月)よりも小売価格から40円の値上げとなります。健康増進等の理由から増税されやすい税金でしたが、喫煙者数の大幅な減少により、増税によるたばこ税の増収はあまり期待できないといえるでしょう。

酒税についても、発泡酒と第三のビールの段階的な増税が決まっています。
現在、ビールと第三のビールでは350mlで約50円酒税に差があります(ビールは77円、第三のビールは28円)。しかし、ビール、発泡酒及び第三のビールに対する酒税は、2026年までに350mlあたり55円と一律の税額になる予定(国税庁「酒税関係法令等の改正」)です。つまり第三のビールは現在に比べて、350mlで27円の増税となって、ビールは22円減税となり、価格差が小さくなります。これにより、いままで「ビールが高いので発泡酒や第三のビールを仕方なく飲んでいた」という人は、発泡酒や第三のビールの増税による大きな影響を受けることになります。

FPが考える今後の展望

国の予算案における税収額は年々増加しています。
2019年10月に導入された消費税率10%への引き上げは、私達の暮らしに大きな影響をもたらしました。消費税増収の使いみちとして、財務省は「年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てるものとする」と説明しています(財務省「消費税の使途に関する資料」)。

しかし、それでもまかない切れず、例えば国民年金保険料は年々増加の傾向にあり、国民健康保険の財源確保のために国民健康保険料の値上げに踏み切る自治体もあります。

たばこ税や酒税の税収が減少した場合、増える予算をどこかでまかなうために、違った形で財源を捻出する必要があり、消費税を含む他の増税や社会保険料の値上げが行われる可能性も考えられます。

まとめ

たばこやお酒をたしなむ人の対策としては、たばこ税や酒税の改定は段階的に行われることが多く事前に決定されるので、日々の家計簿をつける中で、税金の改定を見越した「たばこ購入費」「酒代」の予算項目を作ってみるのはいかがでしょうか。1本あたりは小さな金額ですが、習慣的に購入する場合、月単位や年単位では家計に大きな影響を与えます。

また、ビールと第三のビールの関係のように増税になるものもあれば、減税になるものもあります。何が増え、何が減るのかバランスをみて家計のプランを立てることで、将来の家計の見通しを立てやすくなります。

一方、たばこも吸わないし、お酒もあまり飲まないという人はたばこ税も酒税も関係がないと思いがちですが、たばこ税・酒税による税収が減少する場合、消費税等の増税や社会保険料の値上げなど、違った形で私達の暮らしに影響が出る可能性があるので注意が必要です。

小野 みゆき

中高年女性のお金のホームドクター 社会保険労務士・CFP・1級DCプランナー・年金マスター・1級ファイナンシャル・プランニング技能士 企業で労務、健康・厚生...

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