キャッシュレス決済比率、日本と世界でどう違う? 日本の今後は?

キャッシュレス決済比率、日本と世界でどう違う? 日本の今後は?
マネーケア

現金を使わないキャッシュレス決済は、非接触で買物ができるとコロナ禍でも注目され、決済比率は日本国内でも徐々に増えています。

しかし世界に目を向けると、キャッシュレス決済の現状は、日本より進んでいる国が多くあります。今後、キャッシュレス決済はどうなっていくのでしょうか。

そして、キャッシュレス決済が経済全体に与える影響にはどのようなものが考えられるのでしょうか。今回は、キャッシュレス決済について考えていきたいと思います。

そもそもキャッシュレス決済とは?

キャッシュレス決済とは、現金を使わず買い物できるしくみです。

以前からあるクレジットカードに加え、デビットカード、電子マネー、スマホ決済(QRコード決済、○○PAYなど)といった決済方法があり、どれを利用すればいいのか迷うほどです。

キャッシュレス決済は、利用することでポイントが貯まるサービスが用意されていることが多く、できればまとめておくほうが、ポイントが貯まりやすくおトクに使えるでしょう。

たとえば、利用金額が一定額を超えると、ポイント率が高くなることがあるからです。

また、同じポイント率0.5%でも、200円ごとに1ポイントつくものと、1000円ごとに5ポイントで端数は切り捨てのものとがあります。1回の支払い金額がまとまっているほうが、よりおトクに使いやすくなっています。

しかし、実際に使うキャッシュレス決済は、いくつか使い分けている人が多いようです。

後払いやチャージ式など、代金を支払うタイミングを選んだり、支払う際の利便性で判断したりして、計画的に使うと家計の管理にも役立ちます。

クレジットカード
翌月払いなど後払いになっているため、手元に現金がなくても買物ができることが特徴です。カード会社にとっては、後から必ず払ってくれるかどうかが重要ですので、審査が通らないと作れません。収入があることや、過去に滞納がないことなどが審査の対象です。

デビットカード
買物の際の手順はクレジットカードと同じですが、代金の支払いは後払いではなく即時払いです。あらかじめ紐づけられた金融機関の口座から、決済と同時に引き落としがされます。口座残高を超える利用はできないので、使いすぎを防ぐことができます。

電子マネー
交通系のSuica、PASMOや、流通系のWAON、nanacoなどです。支払いは、あらかじめ使う分だけをチャージしておく前払い。そのため、予算を守った使い方ができます。
ただし、一定の金額以下になったら自動的にチャージする、オートチャージは予算管理には不向きです。クレジットカードから自動的に支払う設定にすると、何に使ったのかわからないままになりがちです。

スマホ決済
アプリをスマートフォンにダウンロードして利用します。支払いは、現金チャージもできますし、クレジットカード払いも選べます。
たまったポイントを運用するサービスも注目されています。

日本のキャッシュレス決済比率はどうなっている?

日本国内で、キャッシュレス決済の比率がかつては低迷し、2010年では13.2%でした(経済産業省まとめ)。

出典:経済産業省「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について」

出典:経済産業省「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について」

キャッシュレス決済は世界の流れでもあり、日本はキャッシュレス決済を推進しており、2020年には10年前と比べて倍以上に増えました。

日本経済新聞の「キャッシュレス決済、20年29.7%と最高 なお海外に遅れ」によれば、2020年、日本の個人消費に占めるキャッシュレス決済の割合は29.7%と、過去最高を更新。2010年以降では、1年間の伸び率も最大となりました。

コロナ禍では、現金よりもキャッシュレス決済のほうが、非接触を保てることが支持されたと考えられています。

内訳は、クレジットカードが25.8%ともっとも多くなっています。
つづいて、電子マネーが2.1%、スマホ決済が1.1%、デビットカードが0.8%です。

キャッシュレス決済が増えてきたといっても、全体から見るとまだまだ少数派です。
なぜ、キャッシュレス決済が少ないのでしょうか。

それは、一言でいって現金決済で困らないからです。

お札も硬貨も総じてきれいで、信頼性が高く保たれています。外国では、ボロボロでくたびれきった紙幣を見ることもありますが、日本ではそのようなことは滅多にありません。

買物の際にもレジでの計算が早く、支払いやつり銭の受取りがスムーズです。外国で現金の買物をした際、店員さんが計算するのが苦手だと、いつまでもつり銭を受取れないことも。そんな時、キャッシュレスなら支払いの合計金額がわかれば、あとは機器の操作だけで決済が完了できます。

日本では、九九や暗算の基礎があるためか、レジでもたつくことはほぼないでしょう。

現金を持ち歩くと、どの国であっても防犯上の心配があります。盗難されたり、ひったくりにあったり、現金だけではなく、身体に危害を加えられることもあるでしょう。

しかし、日本は世界に比べると治安が良く、現金を落としても戻ってくることが珍しくありません。

また、銀行や郵便局などの金融機関が日本全国にあり、ATMの利便性が高いため、現金を引き出すことが簡単にできます。

外国、特に新興国では金融機関が少なく、口座を持っていない人も少なくありません。そういった地域では、街の小売店などが金融機関のような役割を持っていて、現金を持ち込むとスマホのモバイル口座に入金できる仕組みがあります。すると、銀行口座を持っていなくてもスマホで決済や送金が可能になるので、一層キャッシュレス化が進む要因になっています。

そして、キャッシュレス決済をした場合、お店がクレジットカード会社に支払う手数料もネックになっているでしょう。

手数料が高いと、お店としては現金より、キャッシュレス決済では収入が目減りしてしまうからです。

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タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

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