【2020年】将来受取る年金はどうなる?年金改正の動向とは
「人生100年時代」という言葉が広く知られるようになり、老後を安心して過ごすために公的な年金の重要性がさらに増しています。
公的な年金は、制度がこのままだと収支がどうなるか、改正が必要かどうかを見極める、いわゆる「財政検証」が少なくとも5年ごとに行われます。
直近では2019年に行われ、その結果をもとに具体的な年金制度の改正内容が2020年に話し合われます。
今回は、2020年の年金改正の動向について考えていきます。
2020年の年金改正について
2020年に改正が予想される内容の中で、大きな影響を与えそうなのは以下の3つです。
・厚生年金加入対象者が拡大?
・在職老齢年金の支給停止基準が、すべての年齢で47万円に?
・繰り下げ受給可能年齢が75歳へ延長する?
以下解説しましょう。
厚生年金加入対象者の拡大
現在、以下の要件を満たす場合は、正社員でなくても厚生年金保険に加入しなければなりません。
① 週の所定労働時間が 20 時間以上あること
② 雇用期間が 1 年以上見込まれること
③ 賃金の月額が 8.8 万円以上であること
④ 学生でないこと
⑤ 被保険者数が常時 501 人以上の企業に勤めていること
この要件の⑤が、501人以上から51人以上へと改正する案が出ています。つまり、大企業ではない会社にお勤めでも、厚生年金に加入することになる可能性があります。
急に51人以上にするのではなく、まずは101人以上にしてその後51人以上へと段階を踏む案が有力※となっています。
※参考:SankeiBiz
在職老齢年金の支給停止基準が全年齢で47万円に
在職老齢年金制度とは、働いて一定上の収入があると、年金額を減らす仕組みです。これでは、働いても収入全体が増えないため働く意欲を無くしてしまいます。
現在では、年金を月額にした金額と、報酬(給料と賞与を月平均した額を足した額)の合計が、65歳未満なら28万円、65歳以上なら47万円を超えると、厚生年金の一部または全部が停止されるものです。
2020年、65歳未満の28万円を47万円に引き上げるという案が出ていて、全年齢で47万円となる可能性大です。
年金を受け取りながら働きやすく、シニア世代の就労促進をすすめる目的とのことです。
繰り下げ受給可能年齢が75歳へ延長
繰り下げ制度とは、本来65歳から受け取ることができる「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」を、66歳以降に繰り下げて受け取ることによって、1ヵ月繰り下げるごとに0.7%増額になるというものです。
現在の最大繰り下げ可能年齢は最大70歳なので、0.7%×60カ月=42%の増額が最大でした。
今回出ている案は、75歳まで可能として、0.7%×120カ月=84%の増額となり、本来受け取る額の約2倍となります。
例えば、老齢基礎年金と老齢厚生年金併せて180万円の年金の人が、75歳からの受け取りとすると、年金が約331万円となり老後の生活に余裕ができます。