円安になったら外貨建て保険を始めた方がいい?外貨建て保険の仕組みとメリット・デメリットを解説

円安になったら外貨建て保険を始めた方がいい?外貨建て保険の仕組みとメリット・デメリットを解説
マネーケア

資産形成にはさまざまな方法があります。保険商品の活用もそのひとつ。

保険で資産形成をするには、掛け捨てではない保険商品を選びますが、貯蓄性が高い保険を調べていくと、円建て保険より外貨建て保険のほうが有利、と聞いたことがあるのではないでしょうか。

たしかに、外貨建て保険は円建て保険より利回りが高くなるケースが多いのですが、円安のタイミングの今、外貨建て保険は始めた方がいいのでしょうか。

今回は、外貨建て保険の仕組みと、そのメリットとデメリットをお伝えします。

外貨建て保険とはそもそもどんな保険?

外貨建て保険は、保険料の支払い、保険金や解約返戻金などの受け取りまで、すべて外貨で行う保険商品です。たとえば、毎月の保険料が100ドル、死亡保険金は5万ドル、といった内容になります。

もし、1ドル=100円であれば、保険料は毎月1万円、死亡保険金は500万円です。

保険に加入すると、100ドルを日本円に換算した金額が金融機関口座から毎月引き落とされ、万が一の場合には5万ドル分の保険金が受け取れる、となるわけです。

外貨建て保険は、貯蓄型の保険が一般的です。

代表的な保険の種類を見ていきましょう。

●終身保険

終身保険は、保障が一生涯続く保険です。保険契約が継続しているかぎり、いつ亡くなったとしても、その時には保険金の受取人が受け取れます。終身保険は、いつかは必ず保険金を受け取れる保険、つまり掛け捨てではありません。

たとえば、毎月の保険料が100ドルで、払込期間が30年、死亡保険金が5万ドル、という内容の場合、保険料を30年間すべて払ったら合計で3万6000ドルです。

 100ドル×12カ月×30年間=3万6000ドル

死亡時には5万ドルの保険金が出ますが、受け取るのは自分自身ではありません。自分のための貯蓄として契約するのであれば、解約返戻金の金額を見ていく必要があります。

解約返戻金とは、保険を解約すると戻ってくるお金のことです。

解約返戻金は、保険料を払い始めの時には少ないのですが、加入期間に応じて増えていきます。解約返戻金が払い込んだ保険料よりも増えるのは、払込期間が終わりに近づいた頃になる場合が一般的です。

●養老保険

養老保険は、契約期間が満期になると満期保険金が受取ることができ、契約期間中に死亡した場合は死亡保険金が支払われる保険です。つまり、遅くとも30年後にはお金が受け取れる商品です。

さきほどの終身保険は、亡くなったら保険金が出る商品ですから、長生きしたら30年後どころか50年後、60年後、もしかしたらもっと先になるかもしれません。

その間、保険会社は契約者から受け取った保険料を運用して増やすことができますが、養老保険は30年が最長です。

そのため、養老保険は終身保険より、同じ保険料でも保険金額は少なくなります。

たとえば、毎月の保険料が100ドル、払込期間が30年、死亡保険金・満期保険金が4万ドル、という内容の養老保険が考えられます。

保険料を30年間すべて払ったら合計で3万6000ドルですから、満期で4万ドル受け取れたら利益が出ますね。とはいえ養老保険は、終身保険より死亡保険金が少なくなっています。

これは、繰り返しになりますが、保険会社が見込んでいる運用期間の影響です。保険会社から考えると、終身保険だったら死亡保険金を支払うのは保険料が払い込まれた30年よりももっと先、50年とか60年先になるので運用益が見込めます。

しかし、養老保険は30年の満期がきたら払わなくてはならないので、終身保険より短期間の運用になります。そのため、養老保険の満期金は、終身保険の死亡保険金よりも小さくなるのです。

この点に気を付けつつ、貯蓄のための保険契約なら、受け取りたい時期の「終身保険の解約返戻金」と、「養老保険の満期金」を比較するといいでしょう。

●個人年金保険、変額個人年金

個人年金保険は、保険料の払込み終了後に年金形式でお金を受け取る保険です。

たとえば、毎月100ドルを60歳まで30年間払い込んでいきます。払い込む合計金額は、3万6000ドルになります。

100ドル×12カ月×30年間=3万6000ドル

保険会社は払い込まれるお金を運用して「年金原資」を作ります。それから70歳までの10年間、毎年年金を受け取れます。払い込んだ保険料は合計3万6000ドルですから、単純に10で割ると3600ドル。

しかし、保険会社は保険料を運用して増やしますから、たとえば、毎年4000ドルずつ受け取る、という契約になります。

個人年金保険には、運用実績によって将来受け取る年金額がさらに増やせる可能性がある、外貨建ての変額個人年金があります。

さきほどの例でいうと、60歳まで保険会社が運用して年金原資を形成しますが、運用がうまくいけば年金原資が増えて年金額が増やせます。逆に損失が出れば元本割れの可能性がありますが、支払った保険料分は保証される商品もあります。

個人年金保険も掛け捨てではありませんから、解約すれば解約返戻金を受け取れます。

解約返戻金の推移は、保険の契約時に確認することができますが、変額個人年金の場合は運用成績によって増減があります。年金として受け取る時には、支払った保険料分が保証されている年金保険でも、解約返戻金はその限りではなく元本割れになることがあります。

変額個人年金に特有のリスクに注意しましょう。

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タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

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