マイホーム購入の想定外!失敗談から考えるお金のこと
マイホームを購入したいという人にとって大きな関門となるのが、物件探しとローンの契約ではないでしょうか。今回は、筆者の知人が経験したマイホーム購入にまつわる想定外の失敗談をご紹介します。彼女たちの失敗から、どうすれば安心してマイホームを購入できるのか考えていきましょう!
「仮押さえ」したはずが…契約当日にどんでん返し!
まずは、賃貸物件に子供2人と夫婦の計4人で暮らすKさん(35歳女性)のお話から見ていきましょう。
広い戸建てに住みたい!物件探しをスタート
Kさんは、家族4人で暮らす賃貸物件が手狭になってきたことをきっかけに、戸建て物件を探し始めます。
Kさん「たくさんの物件や土地を見ました。なかなか気に入る物件が見つからなくて焦っていたある日、知り合いの生命保険営業マンH氏から、不動産会社を紹介してもらうことになったんです」
H氏経由で出会った物件は、求める条件にぴったりだったというKさん。すぐにでも契約したいところだったのですが、少々予算オーバーな点が引っかかり、すぐには契約できなかったそうです。
「仮押さえ」の言葉に安心していたのに…
買いたいけどもう少しだけ検討したいと伝えると「それでは仮押さえしておきます!」とH氏。その言葉に安心したKさん夫妻は話し合いを重ね、「やはりあの物件しかない!」と確信してH氏に購入の意思を伝えたのでした。
そして迎えた契約の日。H氏が不動産会社に代わって持ってきた契約書にサインしているまさにそのとき、事件は起きます。着信が入り一時退席したH氏が、青ざめた顔で帰ってきたのです。
Kさん「戻ってきたHさんに『仮押さえしていた物件、ついさっき、ほかの方との契約が成立したそうです…』と言われ、もうパニックですよ。『仮押さえしてもらっていましたよね?』と聞いても、間違いなくしたけど、タイミング悪くほかの方が契約してしまった、の一点張りで…。もう何も信じられなくなりました」
「仮押さえ」の定義、実は怪しい
不動産界隈でよく聞く「仮押さえ」という言葉。実は、多くの場合は口約束にしか過ぎず、絶対ほかの人に売らないよう拘束する力はないことをご存知でしょうか。売主によっては条件次第で待ってくれる場合もありますが、あくまでケースバイケース。
今回のKさんは、売主との交渉を他人任せにして「仮押さえ」の言葉を過信したことが、失敗の要因となりました。こうならないよう、一生に一度の買い物だからこそ、しっかりと自分の目で確かめながら進めていきたいですね。
結局高くつく!?「頭金なしでもOK」の実態
続いて紹介するのは、25歳のとき同い年の夫と結婚したNさん(26歳女性)のお話です。
貯金はないけどマイホームが欲しい!
Nさんは、結婚後早々にマイホーム探しを始めたそうです。
Nさん「うちは夫婦そろって貯金がありませんでした。それでも妊活前にマイホームがほしかったので、頭金なしでもOKの物件に決めました」
頭金って?なくても家は買える?
「頭金」とは、ローンとして借り入れるお金以外で自己資金から支払うお金のことです。例えば4,000万円の物件を買うときに、3,500万円はローンにして、500万円はローン契約時に現金で払った場合、頭金を500万円支払ったということになります。
過去には必須だった頭金ですが、現在では頭金なしの「フルローン」でマイホームを購入する人も珍しくないそうです。マイホーム購入のハードルが下がるフルローンですが、一方で注意すべき点もあります。今回、Nさん夫婦が身をもって体験したフルローンの落とし穴を見ていきましょう。
考えてなかった…頭金なしでもOKの落とし穴
◇頭金以外にも現金が必要
マイホームを購入するときは、物件の代金以外に印紙代や事務手数料などの諸費用が発生します。この諸費用は住宅ローンには含まれないため、現金で用意しなければなりません。このことを契約直前に知ったNさん夫妻はなんとかお金をかき集めて払ったものの、貯金口座は空っぽになったそうです。
◇返済総額が多くなる
フルローンは頭金ありの場合よりも、総返済額が大きくなる傾向があります。貯金がないから頭金は払えないと決めつけず、契約前には頭金を支払う場合の返済プランと比較検討しておいた方がいいでしょう。Nさんは元々頭金を支払う予定がなく事前に比較検討することがなかったため、返済総額が多くなることを知らないまま契約してしまったそうです。
今払うお金だけでなく将来払うお金にも着目
フルローンしか選択肢がなかったとは言え、マイホーム購入でなけなしの貯金がほぼゼロになり、長い目で見ると負担の大きい住宅ローンを組んでしまったことを後悔しているNさん。予定していた妊活は延期して、今はがんばって貯金を増やしているそうです。
マイホームを購入するベストタイミングは人それぞれ。早く手に入れたいがために無理して高い買い物をするよりも、用意ができるまでコツコツがんばることも必要かもしれませんね。
「ボーナス払い」で月々の返済額を抑えるはずが…
最後は、結婚後、家賃8万円の賃貸マンションで暮らしながらマイホームを探していたYさん(32歳女性)のお話です。
今の家賃でマイホームに住みたい!
Yさん「うちの家計だと月8万円以上のローンを返済するのは無理。ボーナス払いで年に2回支払いを増やすことで、なんとか現状と変わらない月額でマイホームを手に入れることができました」
ボーナス払いを活用して念願のマイホームを手に入れたYさんでしたが、入居後1年ほどで想定外の事態に見舞われたそうです。
Yさん「夫の会社の業績が傾いたのでボーナスが大幅にカットされてしまい、ボーナス払いに回す分の収入がなくなってしまいました」
ボーナス払いができなくなったらどうする?
このままではマイホームを失いかねない大ピンチに、Yさんたちは以下のことを検討したそうです。
◇ボーナス払いの時期を変更する
6月と12月にボーナス払いを設定していたYさんでしたが、少しでも先延ばしして資金を貯めるために、支払い時期を後ろ倒しにすることを検討しました。
◇ボーナス払いを取りやめる
月々の支払額は上がってもいいから年2回のボーナス払いを辞められないか、借り入れ先に相談し、シミュレーションをしてもらいました。
◇ローンの借り換え
今よりも金利や月々の支払額が低くなるところはないか探したそうです。複数の金融機関でシミュレーションしてもらった結果、借り換えにかかる手数料を考慮すると、Yさんの場合、あまりメリットが得られないことがわかりました。
ボーナス払いは契約前によく検討を
検討に検討を重ねた結果、借入先は現状のまま、ボーナス払いをやめて月々の支払額を増やすことで落ち着きました。これにより、なんとかマイホームを手放さずに済みましたが、月々の支払額は増えるため手放しでは喜べなかったそうです。
ボーナス払いを導入するなら、ボーナスがなくなったときに備えて貯金もしておきたいところ。ローンを契約する前には、ボーナス払いの有無で返済計画がどう変わるかを確認し、無理のないプランで契約したいですね。
一生に一度の買い物は、無理せず焦らず
マイホームを探していると「今しかない!」という運命のタイミングに遭遇することもあります。しかし、金額の大きい買い物だからこそ、無理せず焦らず冷静に考えたいものです。
マイホームの購入は事前にしっかり計画を立て、不明点は専門家に相談して確実に解決してからだと安心です。長い目で見て本当に大丈夫か、しっかり考えながら進めましょう。