2024年に始まる新NISA! 従来のNISAとどう変わる? つみたてNISAとジュニアNISA の改正も合わせて解説

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新NISAの変更点①:新NISAは2階建てに。投資金額の上限も2万円増える

一般NISAでは、年120万円までの投資で得られた利益が非課税になります。それに対して、新NISAでの投資は2階建てになります。

1階部分は年20万円、2階部分は年102万円まで投資ができ、それぞれの投資で得られた利益が非課税になります。したがって、一般NISAよりも年2万円、5年で最大10万円多く投資できるようになります。

なお、購入した株や投資信託などを売っても、非課税になる投資金額の枠(非課税投資枠)が回復しないのはこれまでと同じです。非課税投資枠は使い切りの枠です。

新NISAの構造


資料:筆者作成

新NISAの変更点②:1階部分と2階部分で投資の対象が変わる

一般NISAで投資できるのは、上場株式・ETF・REIT・投資信託です。新NISAでも基本的には変わらないのですが、1階部分と2階部分で投資できる商品が異なります

新NISAの1階部分で投資できるのは、「つみたてNISA」の対象になっている投資信託です。つみたてNISAでは、金融庁が定める条件を満たした投資信託・ETFのみが購入できます。2020年8月5日時点で182本あります。
一方、新NISAの2階部分では、一般NISAと同様に株式や投資信託に投資することができます。ただし、上場が廃止されそうな株式(監理銘柄・整理銘柄)や、長期投資に適さない高レバレッジ投資信託などは除外されます。

原則として1階部分の投資をしないと、2階部分の投資はできません。とはいえ、1階部分の20万円の枠を使い切る必要はなく、1000円、5000円といった最低投資金額の積み立てをしていれば、2階部分も使えるようになります。

どうしても株式だけに投資したい場合は、申請することで2階部分の投資だけすることも可能です。しかしこの場合でも、2階部分の投資金額の上限は年102万円のままとなります。これまで一般NISAで株を年120万円買っていた人からすれば、非課税で購入できる株が減ってしまうことになります。

新NISAの変更点③:ロールオーバーのしくみが変わる

一般NISAには、ロールオーバーというしくみがあります。5年間一般NISAで非課税運用してきた株や投資信託を翌年の投資枠に移すことで、最大10年間非課税にできます

一般NISAは2023年までの予定だったため、2019年以降に購入した商品ではこれまでロールオーバーできなかったのです。しかし、新NISAができたため、2019年以降に「(一般)NISA」口座で購入した株や投資信託を「新NISA」にロールオーバーできるようになります。これにより最大10年間非課税で運用できるようになります。

また、新NISAの投資期間が終了したら、1階部分はつみたてNISAに「時価」ではなく「簿価(購入時の金額)」でロールオーバーできます。
たとえば、1階部分で投資した20万円の投資信託が5年後にどれだけ増えていても、簿価でロールオーバーすると「20万円」として扱われます。仮に5年後30万円に増えていたとしても、簿価は20万円なので、20万円分の移管として扱われるわけです。つみたてNISAの非課税投資枠は年間40万円ですから、あと20万円はその年じゅうに投資できるようになります。
なお、2階部分は課税口座に時価で移されることになる見込みです。

ロールオーバーの例


資料:筆者作成

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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