「始めたまま放置」「資産がマイナス」…確定拠出年金、こんなときどうする?

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配分比率が当初設定したものから大きく変わっていたら…リバランスをしよう

ポートフォリオを組んで運用を始めても、個々の資産が値上がりしたり値下がりしたりするため、資産の比率が当初の配分比率から変わってきてしまいます。これを元に戻してあげることを「リバランス」といいます。

たとえば、国内株式型のA投信、外国株式型のB投信、バランス型のC投信の3本を運用していたとき、B投信だけが大きく値上がりしたとします。
値上がりは嬉しいかもしれませんが、これは同時に、資産全体に占めるB投信の配分比率がアップしたことを意味します。つまり、今後B投信が値下がりしたときには、資産全体が当初よりも大きく値下がりしてしまう可能性があるのです。

こんなとき、リバランスをして配分比率を戻すことで、損する可能性を減らし、コツコツと利益を積み上げることができるでしょう。

もっとも、リバランスは頻繁に行うものではありません。
年1回確認して、大きく配分比率が変わっていたときにする程度で十分でしょう。

資産がマイナスになっていても…そのまま淡々と続けよう

元本変動型の商品を買って、思惑どおり値上がりすればいいのですが、値下がりして損失を抱えてしまうことも考えられます。特に近年スタートした方は、新型コロナウイルスの影響による下落で、大きく損をしているかもしれません。

損失が気になるのはわかりますが、ここはじっと耐えて、淡々と積立投資を続けることをおすすめします。

積立投資をすると、ドルコスト平均法の効果が期待できます。
ドルコスト平均法は、定期的に一定額の金融商品(ここでは、投資信託)を購入しつづける投資法です。こうすることで、投資信託の価格(基準価額)が安いときにはたくさん買い、高いときには少ししか買わないことになるため、平均購入単価を下げることができるのです。

新型コロナウイルスに限らず、相場の急落があるのは事実ですが、ずっと下がり続ける相場がないこともまた事実です。数十年にわたって、じっくり運用することで、短期的な下落は気にならなくなるどころか、むしろ下落を味方にしながら投資ができるようになります。

なお、60歳になる直前で下落した場合は、受け取り開始を最大70歳にまでずらして、タイミングをはかるのも一つの方法です。10年の間、新しく掛金を出すことはできませんが、非課税で運用を続けることはできます。頃合いを見計らって、値を戻したところで受け取りを開始すればいいのです。

資産がプラスになっていても…純資産総額は確認しておこう

長期間続けて利益が出ていたとしても、気にしてほしいことが1つだけあります。投資信託の「純資産総額」がどうなっているかです。

純資産総額は、投資信託の資産の合計金額のこと。投資信託の規模を表す金額です。純資産総額が多く、右肩上がりで増えていればいいのですが、問題は純資産総額が減っている場合です。こうなると、値上がりが期待できないばかりか、途中で運用が終わってしまう(繰上償還)こともありえます。

iDeCoでも企業型DCでも、スイッチングといって、ある投資信託から他の投資信託に乗り換えることができます。もし、短期間に純資産総額が大きく減っている商品をもっているなら、スイッチングを検討してもいいでしょう。
ただし、リバランス同様、解約コスト(信託財産留保額)が必要になることもありますので、ご注意ください。

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まとめ

iDeCoや企業型DCは、税金を安くする効果を生かしながら老後資金を用意できる制度です。そうはいっても「面倒」と思われる方もいるかもしれません。しかし、他の誰でもない、自分の老後のお金のことですから、きちんと向き合って、お金を育てていきましょう。

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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