初心者でもわかる介護保険の仕組み

介護・医療

もし、親が介護になってしまったら国や自治体からどのようなサービスが受けられるかご存知ですか? 知らなくて慌てる前に公的介護保険について学んでみましょう。

介護保険料の支払いは40歳から

公的介護保険は40歳以上の方が強制加入の公的制度で40歳から保険料の納付が必要になります。会社員の場合は介護保険料の料率は平成29年2月現在で1.65%(平成30年4月納付分より1.57%)で会社と折半での支払いになりますが、社会保険料に組み込まれて給料から天引きされていますのでもしかしたら、納付している感覚があまりないかもしれません。

1割の自己負担で介護サービスが受けられるが自己負担もある

介護保険は「要支援1~2」「要介護1~5」の7段階のどれかの認定を受けると1割の自己負担)で介護サービスが受けられます。ただし、以下のような条件に当てはまる人は、所得が高いとみなされ自己負担が2割となります。
・単身世帯は年間給与所得が160万円以上、年金収入のみなら280万円以上、年金とその他の収入で280万円以上
・二人以上世帯で世帯収入が346万円を超えた人
また、介護サービスを利用できる年間の限度額が要介護度によって決まっています。

利用額は、利用したサービスに応じて設定される単位に、1単位あたりの単価(1単位あたりの単価はサービスによって異なる)をかけた額となります。
要介護状態区分別に、1カ月あたりの保険給付の上限額(区分支給限度基準額)が以下のように設けられています(平成29年3月現在)。

・要支援1
5,003単位(50,030円~57,034円程度)
・要支援2
10,473単位(104,730円~119,392円程度)
・要介護1
16,692単位(166,920円~190,288円程度)
・要介護2
19,616単位(196,160円~223,622円程度)
・要介護3
26,931単位(269,310円~307,013円程度)
・要介護4
30,806単位(308,060円~351,188円程度)
・要介護5
36,065単位(360,650円~411,141円程度)

例えば、要介護3で自己負担1割の人の場合、年間のサービス利用限度額は約323万円です。この場合の自己負担は32.3万円ということになります。年間で330万円サービスを利用した場合は、差額の7万円は全額自己負担ということです。

そもそも介護サービスって何?

介護が必要になると、在宅で訪問介護などを受ける「在宅サービス」や施設に入所して受ける「施設サービス」などがあります。

サービスの内容には以下のようなものがあります。
・ホームヘルパーに自宅に訪問してもらい掃除・調理・選択の生活援助や食事や衣類の着脱、排せつ、入浴などの解除をしてもらう
・デイサービスセンターなどに通い、健康チェック、日常生活訓練、機能訓練、入浴などのサービスを受ける
・車いすや電動ベッドなどの福祉用品のレンタルができる
・特別養護老人ホームで終身日常生活のケアを受ける
・老人保健施設に入所し3~6か月の範囲で「生活リハビリ」を受ける

どんな人が給付を受けられる?

公的介護保険は65歳以上の人を第1号被保険者、40歳~64歳の方を第2号被保険者と呼び、給付対象の要件に違いがあります。
第1号被保険者はあらゆる疾病やケガの原因を問わず介護サービスを受けられますが、第2号被保険者は16種類の特定疾病のみ介護サービスを受けることができます。それ以外の原因では介護サービスを受けることができません。
16種類の特定疾病は以下になります。
1. 末期がん(医師が、一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがな い状態に至ったと判断したもの)
2. 筋萎縮性側索硬化症
3. 後縦靭帯骨化症
4. 骨折を伴う骨粗しょう症
5. 多系統萎縮症
6. 初老期における認知症
7. 脊髄小脳変性症
8. 脊柱管狭窄症
9. 早老症
10. 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
11. 脳血管疾患(外傷性を除く)
12. 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
13. 閉塞性動脈硬化症
14. 関節リウマチ
15. 慢性閉塞性肺疾患
16. 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

介護サービスを利用するには?

介護サービスを利用するには、市町村の担当窓口に申請し介護や支援が必要と認定(要介護認定)される必要があります。
そして、どのようなサービスをどれだけ利用したらよいのかをケアマネージャーという介護の知識を広く持った専門家に相談しケアプランを作成してもらいサービスを利用数ということになります。
要介護認定は有効期限がありますので都度、認定を受ける必要があります。

まとめ

介護保険制度があるとはいえ、満足のいくサービスを受けるためには自己負担も視野に入れることが必要となります。
介護にならないための生活を心がけるとともに、介護費用の準備も早くから考える必要がありそうです。

廣木 智代

ファイナンシャルプランナー(CFP) 結婚後、家業のスナックで手伝いをしていたが母の引退と共に廃業。家計の苦しさを埋めるための我が家の保険の見直しをきっかけ...

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