がん保険に加入するなら知っておくべき「病気になった後のお金事情」

介護・医療

日本人が生涯でがんにかかる確率は2人に1人。そしてがんで死亡する確率は、女性で6人に1人、男性で4人に1人です(国立がん研究センター調べ、2014年・2016年のデータに基づく)。
つまり、がんは必ずしも死に直結する病気ではなく、治療をしながら生き続けることが増えてきているということを表しています。治療や生活にはお金も必要です。では、どのような準備をしておけば安心なのでしょうか。

病気発覚後、かかるお金は平均約70~約114万円

いくつかの検査をして、がんと発覚して治療をする場合、3大治療とされる手術・抗がん剤・放射線治療をしていくことになるでしょう。
治療費はがんの進行度によっても異なります。進行度は、早期からステージⅠ~Ⅳまでです。がんと診断されてからの自己負担金額の平均は、ステージⅠ、Ⅱであれば約70万円。ステージⅢで約91万円。ステージⅣでは約114万円です(間接費用含む)。
(「がんの医療経済的な解析を踏まえた患者負担の在り方に関する研究」より)

がん保険では何にいくら支払われる?

がんの治療にまつわるお金としておよそ100万円の費用がかかるのですが、がん保険に加入していれば、給付金が受け取れます。
がん保険から受け取れる主な給付金には次のようなものがありますが、がん保険の非加入者であれば、まったく受け取れないお金ですので自分で払わなくてはなりません。それぞれの金額は給付金例です。

がん診断給付金(50万~300万円)

がんと診断されると、一時金としてお金が受け取れます。保険によって50万~300万円に設定されていることが多いでしょう。
また、1度だけ受け取れるタイプと、2年に1回を限度に複数回受け取れるタイプがあります。再発や転移のおそれのある、がんならではの給付金ですね。

がん入院給付金(日額:5000~3万円)

がんによる入院をすると、日額×入院日数の金額が受け取れます。がん保険の入院給付金は、日数の制限がないことがほとんどなので、長期の入院になってもすべての日数分が受け取れることになります。

がん手術給付金(1回:10万~60万円)

がんによる手術をすると受け取れます。医療の進歩により、がんの手術でも日帰りで可能な場合があります。手術給付金は、入院を伴う手術でなくても受け取れるタイプにしておくと安心です。

抗がん剤治療給付金、放射線治療給付金(1カ月:10万~30万円)

最近は、抗がん剤や放射線治療を通院で行うケースが増えています。入院費こそかかりませんが、交通費がかかりますし、抗がん剤は高額な薬が多くなっています。入院をしなくても、所定の治療をしたら受け取れる給付金は、時代に合ったものと言えるでしょう。

先進医療給付金(上限:2000万円まで)

先進医療とは、厚生労働大臣が定めた高度な医療技術で、限られた病院などで受けることができます。公的医療保険の対象ではありませんので、全額自己負担となりますが、先進医療給付金は通算2000万円までを限度にお金を受け取ることができます。

がん保険は治療費だけでなく収入減に備えられる

がんの治療にはお金がかかりますが、それをまかなうだけの貯蓄があれば、がん保険に加入しなくてもよいという考え方もあるでしょう。
しかし、治療のために仕事を長期にわたって休んだり、セーブしたりすれば収入が減ります。その状況で治療のために貯蓄がどんどん減っていくのは、精神的にきびしくなってしまうものです。

がん保険をはじめとした保険のメリットは、給付金が受取れる条件をクリアすれば、確実に受取れることです。貯蓄のように減ることがありませんから、安心して受け取って、使うことができます。
ただし、がん保険の給付金を受取れるタイミングは、ほとんどの場合で治療をした後です。いったん病院などに支払うためには、手元の現金も必要。保険と貯蓄、どちらもバランスよく備えておきましょう。

まとめ

医療の進歩によって、がんになっても、治療しながら生き続けることができるようになってきています。だからこそ、治療費だけではなく、生活費のことも考えて保険と貯蓄を準備しておくことが必要です。
そして、早期発見・早期治療で治療費は安く、治療期間は短くなります。
忙しくても、がん検診は定期的に受けましょう。特に自治体の無料がん検診は忘れずに受けたいですね。自分が住民税を払っている自治体からの、いわばサービスの還元です。しっかり活用しましょう。

タケイ 啓子

ファイナンシャルプランナー(AFP)。 36歳で離婚し、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職をしたが、その後、保険の総合代理店に転職。保険の電話相談業務...

プロフィール

関連記事一覧