東京、神奈川、埼玉、千葉…一都三県「平均年収」で年金額はどうなる?

東京、神奈川、埼玉、千葉…一都三県「平均年収」で年金額はどうなる?
マネーケア

老後の年金額はいくらもらえる?

ライフプランは、平均値ではなく自分なりの数字に置き換えて考えることをお話しましたが、将来のことは不確定要素が多く、想像ができないという方も多いでしょう。そこで、モデルとして一都三県の平均給与から年金額を試算してみました。実際の年金の計算では、平均標準報酬額は、賞与も含めて加入期間の給与月額をすべて足して加入月数で割った額になります。年金額は、厚生年金額と国民年金額を合計します。

年金額の計算式は、

(給与額×12か月+賞与額)÷12×給付乗率(0.005481)×加入月数(480か月)+国民年金(老齢基礎年金)

ここでは便宜上、年金額は40年間保険料を納めた場合と仮定して計算しています。

●東京都の場合(男女計) 平均年齢42.5歳

30~34歳の給与額の場合 約190万円
(34万9500円×12+92万7900円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=190万725円

40~44歳の給与額の場合 約221万円
(43万400円×12+136万8700円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=221万205円

東京都 年齢階級ごとの給与額と賞与

●神奈川県の場合(男女計) 平均年齢43.9歳

30~34歳の給与額の場合 約185万円
(33万5500円×12+87万1700円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=185万1572円

40~44歳の給与額の場合 約206万円
(39万1800円×12+113万5300円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=205万7482円

神奈川県 年齢階級ごとの給与額と賞与

●埼玉県の場合(男女計) 平均年齢43.7歳

30~34歳の給与額の場合 約174万円
(30万8000円×12+70万1100円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=174万1820円

40~44歳の給与額の場合 約193万円
(35万9400円×12+92万3900円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=192万5894円

埼玉県 年齢階級ごとの給与額と賞与

●千葉県の場合(男女計) 平均年齢43.4歳

30~34歳の給与額の場合 約173万円
(31万600円×12+63万6000円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=173万4388円

40~44歳の給与額の場合 約188万円
(35万1400円×12+82万4200円)÷12×0.005481×480か月+77万7800円=188万2989円

千葉県 年齢階級ごとの給与額と賞与

年金額を計算してみると、意外に少ないと感じる方が多いのではないかと思います。

比較的年金額が多くもらえる一都三県の場合でも、年額221万円もらえる場合には、月額18万円強の年金額ですし、年額173万円の場合では月額14万円ほどの年金額です。現在働いてもらっている給料にくらべると格段金額が下がります。注意すべきなのは、この年金額から所得税、住民税、健康保険料や介護保険料が差し引かれるので、実際の手取りの金額はもっと少なくなることは覚悟しなければなりません。

老後のお金を増やすための投資方法

老後資金の不足額が2000万円と騒がれていた時期がありました。しかし、2022年2月からのウクライナ侵攻による資源高や食料の高騰により、日本でも物価の上昇が見られます。今まで以上に老後の生活費にお金がかかることが予想されます。また、海外の国々の金利差も影響し、円の価値が下がっている状況も見逃せません。定期預金でコツコツお金を貯めたとしても、物価の上昇分を補える預金利率ではないためお金が増えず、結果的に目減りをしてしまいます。

もちろん年金額が十分な金額もらえて、物価の上昇以上に金額が増えれば問題ないのですが、高齢者が増えて医療費や公的介護にお金がかかるようになると、年金は厳しくなることが予想されます。ですから、老後の生活を想定して不足する部分は、どうしても私的な年金の準備が必要になります。

そこで、注目されるのはiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やつみたてNISAなどの税制優遇制度を活用した私的年金づくりです。毎月決まった金額を限度の範囲で投資信託などを購入して積み立てていきます。

●iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)

2022年に年金制度が改正され、iDeCo(イデコ)は運用期間が長くとれるようになりました。国民年金または厚生年金の被保険者であれば、65歳未満まで積み立てることができます。年間の投資額の上限は、加入者職業などで変わりますが、14万4000円から81万6000円になります。iDeCo(イデコ)を利用することによって、掛金の全額が所得控除になり税金の負担が減らせます。また運用益に関しても非課税で、受取り時にも税金の優遇制度が使えます。

デメリットとしては、原則として60歳までは引き出せないので、無理のない範囲内で継続的に積み立てていきましょう。

●つみたてNISA

つみたてNISAの運用期間は最長20年間です。年間の投資額の上限は40万円です。最低投資金額は金融機関で異なりますが、100円からでも運用を始められる場合もあります。投資対象の商品は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託の中から自分で選んで投資します。運用期間に年齢の制限がないため、いつからでも始められます。税制のメリットとして、運用益に税金がかかりません。また、途中引出しはいつでもできるので、どうしても現金が必要な場合には、一部解約もできます。

30代、40代といえば老後までに十分な時間があります。iDeCo(イデコ)やつみたてNISAの制度は、併用することができます。資金の余裕がある人は、2つの方法を併用してお金を増やす選択肢もあります。

まとめ

長生きが前提となれば、今まで抱いていた老後のイメージも変わってくるでしょう。2021年4月からは、70歳までの雇用の機会が努力義務化され、老後に働き続けるという選択肢も選びやすくなりました。

老齢厚生年金を多くもらうためには、毎月の給与やボーナスを高くする以外に、できるだけ長く働くことで年金額を増やすこともできます。老後まで十分に時間がある30~40代は、今できることをしっかり行うことで、老後の不安を払拭できます。これからの働き方を考えつつ、自分でつくる年金のしくみも整えていきましょう。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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