「ペイオフ」初実施から10年 預金を守るにはどうしたらいい?

「ペイオフ」初実施から10年 預金を守るにはどうしたらいい?
マネーケア

これからペイオフが起こる可能性は?

日本で初めてペイオフが発動された日本振興銀行の事例は、破綻処理案件182件中の1件のみの特殊な事例だと片づけていては危険です。リーマンショックやコロナショックをはじめ、金融危機は業態や国境を越えて短時間に拡大するので、予想を超えた事態に備えておくべきだと考えます。特に2020年初頭からの新型コロナの影響は、これからの動向が不透明です。

日本国内では、日銀のマイナス金利政策によって、銀行の本業である貸し出しによる収益が縮小しています。かつては、企業や個人への貸付で、ある程度の利ザヤが稼げたのですが、現在では投資信託の募集手数料や保険加入などの手数料収入に移行する銀行もあります。

さらに2020年3月期末決算では、コロナの影響で赤字に転落している地方銀行も出てきました。地元企業の事業不振や個人の住宅ローンの借り控えなどが、銀行経営にも影響が出ています。そのほか地方銀行では、相続人が都市に在住しているため、相続財産が県外へ流出するなど、預かり資産が減少するなどの問題も抱えています。

預金保険法には「信用秩序の維持に極めて重大な支障を生ずるおそれがあると認めるとき」には金融危機対応措置をとる旨の定めがあります。しかし、具体的にどのような場合に金融危機対応措置をとるのか、本則どおりのペイオフを行うのか、政策として基準が明確とはいえません。ですから、比較的安定した経済状況であるなら、取付け騒ぎに発展しないと判断し、ペイオフを行うことも考えられます。

自分の資産は自分で守ろう

預金保険制度は、「少額の預金者を保護して金融システムの安定を図る」という基本理念がありますが、個人でも老後資金としてかなりの金額を金融機関に預けています。大口預金者だから、自己責任で対応するように求められれば、路頭に迷うことになります。

自分で老後資金を考えたり、投資を求めたりする今だからこそ、「資産を守る」という観点からも、個人レベルでの万が一の場合を想定した資産形成が求められます。

文・監修:ファイナンシャルプランナー(AFP) 池田幸代

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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