日本の女性の階級とは?! これからの貯蓄、投資の必要性

マネーケア

#me too運動を代表として、2019年は、ジェンダー差別に対してこれまでにないほど、「カジュアルに」スポットライトがあたった年ではなかったでしょうか。
今回は、世界における女性階級と日本の働く女性が置かれている環境とを、確認してみたいと思います。

ジェンダー・ギャップ指数(GGI)2018年、G7で最下位の日本

「階級」という言葉は、筆者にすれば学校の教科書で知った「インドのカースト制」を想像させるものですが、決して時代遅れの過去の負の遺産ではありません。
現在も格差そのものは存在していて、多くの統計からも、女性は男性よりも「低い」ポジションにいる現実が、変わらないことが読み取れるのです。

男女共同参画に関する国際的な指数


(内閣府 男女共同参画局HPより)

男女格差を表す指標は、世界にいくつかありますが、ジェンダー不平等指数(GII)は国連開発計画(UNDP)が統計をとっています。
リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)、エンパワーメント、労働市場への参加の3つの側面における達成度の、女性と男性の間の不平等を映し出す指標です。

ジェンダー・ギャップ指数(GGI)は、経済・教育・保健・政治の各分野での社会進出における男女間不平等を指数化したもので、世界経済フォーラム(WEF)が毎年発表しています。

いずれにおいても日本は、公的機関・企業において女性の上級職や議席数が、極めて低いことで知られています。

はっきりと見える「賃金格差」 階級を生む原因か

近年、賃金推移は上昇傾向にあります。しかし、この5年間で全年齢の賃金推移が上昇したものの、男女間では、賃金差が常に女性が男性を下回っています。

性、年齢階級別賃金の推移


(厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査 性・年齢階級別賃金の推移より)

さらに詳細に見ていきましょう。
下の図では男性の賃金を100とした場合の、女性の賃金差が年齢別にいくつかという数値で表されています。
最も「男女格差」が大きいのが、50~59歳の層です。女性の賃金平均が、男性の63.5%しかありません。

性、年齢階級別賃金及び男女間賃金格差の推移


(厚生労働省 平成30年賃金構造基本統計調査 性・年齢階級別賃金の推移より)

これらのポイントは、年々「賃金が向上していたとしても、男性より低いことには変わりがない」ということです。
毎年数値が入れ替わるような統計結果であれば、「階級」というインパクトの強い言葉を用いる必要までないのかもしれませんが、長期に渡って「変わらない」という事実があると、それはもう問題の背景に、個人の力だけでは及ばない何かが存在している、という事になります。

貧困率の女性の割合は、離婚の要因が大きい

少し前のデータになりますが、こちらの数値も気になるものです。

年齢階層(5歳刻み)別・男女別 貧困率 (2007年)


(平成23年男女共同参画会議 基本問題・影響調査専門調査会資料より)

国民生活基礎調査(厚生労働省実施)における「貧困率」とは、等価可処分所得(いわゆる手取り収入)の中央値の、半分以下の人の割合をいいます。
ものすごく簡単に言うと、「手取り収入が、平均額のさらに半分の人の割合」が貧困率、というイメージです。

上の図でわかるとおり、20代を除いて女性の貧困率は、男性を上回っています。
さらに、貧困率の分布を見てみましょう。

配偶関係別、男女別 貧困率(H7,H19):勤労世代(20‐64歳)


(平成23年男女共同参画会議 基本問題・影響調査専門調査会資料より)

男性の貧困の場合は「未婚者」が多いのに対して、女性は「配偶者との離別・死別者」に多いことがわかります。「結婚」「出産」を期に、経済活動から距離が離れがちな女性ならでは、と想像できます。

正しい投資の知識と活用で、経済的な自立を

では、日本において女性が、経済的に自立してゆくためには何が必要なのでしょうか。
数多くの個人面談をさせていただいてきた筆者が思うには、「経済的な収入源から、離れない」ことです。

簡単に言えば、「配偶者(多くは男性)がいるからといって、仕事を辞めないで」ということです。もちろん、「仕事」を「事業」、「運用」などに読み替えることもできます。
いずれにしても、自身の手腕を磨き続け、経済的評価を得られる「場所」を確保しておいてほしいのです。

働き方改革が進む一方で、女性自身から、「結婚してパートタイムの仕事に切り替えよう」、「出産育児で忙しくなるから、正社員では居られない」などの声を聞きます。
同じことをなぜ、男性の顧客から「ただの1回も」、筆者は聞いたことがないのでしょうか。

生物学的な違いから、例えば出産や月経など、常にアクティブに身動きがとれない要因は、確かに女性にはあります。逆に男性には、「男たるもの」という社会的重圧が、まだまだ世の中に残っているのも事実でしょう。

しかしながら、多くの女性の読者が読んでいただけるこのサイトで、あえて申し上げておきたいのは、女性自身の意識の改革もまた、必要であると言うことです。

女性だから、男性だからという過去の歴史が作り上げたバイアスで、自分の人生を誰かに依存していないだろうかと、考えてみて欲しいのです。

まとめ

普段から有意性を伝えている、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)/企業型DCの活用や、投資に対するリテラシーの向上は、こうした男女格差問題の糸口になると、筆者は考えています。将来の経済的な計画は、自信につながるという声を、顧客から聞きます。筆者自身もまたそうです。

女性が個人として自立し、自ら社会に参加し続ける事で、GGIもGIIも、改善することはできるはずです。貧困層からの脱出も可能になるでしょう。

佐々木 愛子

ファイナンシャルプランナー(AFP)、証券外務員Ⅰ種 国内外の保険会社で8年以上営業、証券IFAを経験後、リーマンショック後の超低金利時代、リテール営業を中...

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