令和3年度 住民税の税制改正で得する人、損する人はどんな人?

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令和2年(2020年)の幕開けから、ほどなくして世界中の人々を震撼させた新型コロナウィルス感染症。今もなお、経済や私たちの生活に大きなダメージを与え続けています。その悪影響を和らげるための減税措置が取られる一方で、一定額を超える高額所得者にとっては増税になってしまうものもあります。
令和2年にあった税制改正を振り返りながら、住民税の税制改正で得する人、損する人はどんな人なのかを見ていきましょう。

税制改正は毎年行われる

税制改正に触れる前に、税金とは一体何なのか、おさらいをしましょう。

税金は、年金・医療などの社会保障と福祉、水道・道路などの社会資本整備、さらには教育・警察・防衛といった公的サービスを運営するための費用を賄うものです。その費用を皆で出し合って負担し、互いに支え合い、共により良い社会を作っていくために、広く公平に使われます。
こうした「国の税金の仕組み」のことを税制といいます。

この税制の改正は毎年行われます。
その理由は、税負担の公平さを保ちながら経済社会の変化に十分対応できるよう、その仕組みについて毎年見直すとともに、絶えずその在り方を検討する必要性があるからです。
そこで、国民や各種団体からの税制改正要望などを踏まえつつ、予算編成作業と並行して税制改正の作業が行われます。

令和2年度は大きな改正があった

一年遡って、令和2年度の税制改正では、大きな改正がありました。

昨今は、企業勤めや公務員、自営業等だけでなく、起業や副業をする人が年々増加しています。そういった働き方の多様化を踏まえ、働き方改革を後押しするなどの観点から、改正が行われました。
その中で、令和3年度(令和2年中の所得)以降に適用される住民税について、主な改正事項をみていきましょう。

令和3年度以降に適用される住民税の改正事項

給与所得控除の見直し

給与所得控除とは、会社勤めをする人が経費として給与などの収入から差し引くことを認められているものです。

例えば、個人事業主の場合は売上から経費を差し引いて事業所得を算出します。一方、会社勤めをする人の場合、一人一人が同じ作業を行おうとすると手間がかかりすぎるため、収入金額に応じて一律に差し引くことになっています。この控除額が、個人事業主の場合の経費にあたるというわけです。

給与所得控除額の計算式

給与所得控除額の計算式
国税庁ホームページをもとに筆者作成

改正後、給与所得控除は一律10万円引き下げられました。

また、改正前の給与等の収入金額上限は1,000万円超でしたが、850万円まで引き下げられ、さらに控除上限額も220万円から195万円までの引き下げとなりました。このため、年収が850万円超の人は増税となってしまいました。

一方、年収が850万円以下の人であれば、次に説明する基礎控除が一律10万円引き上げられていますので、給与所得控除の10万円引き下げとあわせてプラスマイナスゼロになり、負担は変わらないことになります。

基礎控除の見直し

基礎控除とは、企業に勤める会社員・公務員・フリーランスで働く人・公的年金収入がある人など全ての人に適用され、総所得金額から差し引くことができる控除です。

基礎控除額の変化

基礎控除額の変化
国税庁ホームページをもとに筆者作成

給与所得控除とは反対に、基礎控除額は10万円引き上げられました。

改正前は所得金額にかかわらず、控除額は一律38万円でした。改正後は、合計所得金額が一定額を超えると控除額は段階的に減り、2,500万円を超えるとゼロになります。高額所得者にとっては、損をする改正となりました。

所得金額調整控除の創設

年収が850万円を超えていて、子育て世帯・介護世帯や障害者である扶養親族がいる世帯に配慮し、負担を軽減するために新たに「所得金額調整控除」が設けられました。

以下ア~ウのいずれかに該当すると控除が適用されます。
所得金額調整控除
国税庁ホームページをもとに筆者作成

所得金額調整控除の計算例:
収入金額が900万円、10歳の子を扶養している人の場合
(900万円ー850万円)×10%=5万円

この5万円が所得金額調整控除額となります。

この他にも、給与と公的年金の両方をもらっている人は、その合計額が10万円を超えると、給与所得から「所得金額調整控除」として10万円を差し引くことができます。
所得金額調整控除10万円の差し引き

繰り返しになりますが、年収が850万円までの人は、給与所得控除の10万円引き下げと基礎控除10万円引き上げにより、プラスマイナスになるので変化は見られません。しかし、年収が850万円超の独身者や子供のいない世帯、あるいは年収が2,500万円を超える高額所得者などは、所得税の負担が増えることになりました。こういった人たちは損をする、というわけです。

反対に、自営業、個人事業主やフリーランスの人には給与所得がそもそもなく、給与所得控除もありません。この場合、合計所得金額が2,400万円以下であれば減税となりますので、得をしていると言えますね。
また、住民税の基礎控除額も33万円から43万円に引き上げられました。

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小河 由紀子

FPオフィスOgawa 代表・ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・終活アドバイザー 独立系FPのためのプラットフォーム会社に所属。 「お金に振り回され...

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