すべての国民にお金を配る「ベーシックインカム」のメリット・デメリット

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ベーシックインカムの3つのデメリット

ベーシックインカムはいいことずくめ、ではありません。次のようなデメリットも指摘されています。

ベーシックインカムのデメリット①:国の予算が足りない

ベーシックインカムの一番の問題は、配るお金をどうするかです。仮に日本人1億2000万人に毎月5万円ずつ配ると、単純計算で1か月6兆円、1年で72兆円も必要になる計算です。国の1年間の予算が約100兆円ですから、ベーシックインカムを続けると途方もないお金が必要になります。

ベーシックインカムのデメリット②:労働意欲が下がる

メリット①で仕事の質が上がるとお話ししました。しかし、何もしなくても、最低限生活できるだけのお金が入ってくるのであれば、「働かなくてもいいや」と考える人がでてきてもおかしくありません。こういった特定の人に対して、仕事を促進するような仕組みは別途必要になります。

ベーシックインカムのデメリット③:お金を貯める意欲がなくなる

ベーシックインカムがあれば、最低ラインの生活を送る分には問題ありません。すると、「お金を貯めよう」という意欲がなくなるかもしれません。デメリット②にも通じますが、働かない人が増えると、国の税収が減る一方で支出ばかりが増えていきますので、国の財政がピンチになる可能性もありえます。

日本での導入はまだ期待できない…自分の身を守るお金は準備しておこう

政府がすべての国民に無条件で最低限の生活に必要なお金を給付するベーシックインカム。誰もが経済的な自由を得ることで、仕事や子育て、あるいは自分の好きなことに注力できるようになるかもしれません。しかし、その一方で財源の確保や失業率のアップなどの問題も抱えています。

ベーシックインカムの制度はこれからも議論されるかもしれませんが、日本の導入はまだ期待できないのが現実です。ただ、将来どんな社会になっても、自分の身を守れるだけの資産を築いておくことは大切。普段から、お金を貯めたり増やしたりする意識を持ち、行動に移していきましょう。

執筆者:ファイナンシャルプランナー(AFP) 頼藤 太希

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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