パワーカップルの陥りがちなNG習慣【保険編】

マネーケア

夫婦共稼ぎで一定以上の世帯所得があり、仕事はもちろん、プライベートも自分たちらしさを貫き、充実させるパワーカップル。常にスマートで華やかなイメージで、資産管理も抜かりなく行っているように見えますが、意外にも「思うように資産管理できていないし、入っている保険が適切なのかも分からない」といった嘆きが聞こえてきます。彼らが陥りがちな保険のNG習慣と対策についてみていきましょう。

パワーカップルが陥りやすいお金のNG

パワーカップルとは、夫婦共稼ぎで高収入、夫婦とも高学歴の上、職業は医師や弁護士、研究者などの技術・専門職、とされています。(『夫婦格差社会』(2013年、中公新書、橘木俊詔・迫田さやか著))
詳しくは、「パワーカップルの陥りがちな貯金のNG習慣」にて解説しております。

共稼ぎですと高額な住宅ローンを組むことが可能なケースもあり、中には少し無理をして都心にほど近い駅近マンションを購入している夫婦もいます。このような場合には、夫婦のどちらか一方が休職や退職をした際に、その後ローンを払い続けることが難しくなることが予想されます。
そして収入が下がったからといって、急に生活レベルを下げることは容易ではありません。

また、教育に熱心なのも特徴的です。子供が小さいうちから塾や習い事といった英才教育を施し、我が子に良質な教育環境を与えるためには出費を惜しみません。このため、夫婦が老後を迎える頃には貯蓄が底をついてしまうケースもあります。
キャッシュフロー表を作成してみると分かるのですが、いくら高収入でも教育費にお金をかけ過ぎてしまうのは危険なことなのです。
毎月高額な保険料を支払って、子供の学費を保険で準備している家庭もあります。

加えて、毎日忙しいパワーカップルは、ベビーシッターや家事代行サービスなどの外注も積極的に利用します。他にも趣味・レジャー・自己啓発の費用など、何かと支出が膨らみがちなのです。

パワーカップルの陥りやすい保険のNG

そんなパワーカップルは、保険契約が高額になる傾向にあります。
世帯の年間収入別で、保有資産に占める金融商品の内訳を見てみると、全ての世帯で預貯金に次いで2番目に生命保険の保有額が多いのが分かります。
突出しているのが収入1,200万円以上の世帯で、生命保険保有額が1,005万円と非常に多くなっています。「保有額」として回答しているところから、貯蓄性の保険に加入していることが推測されます。(「家計の金額行動に関する世論調査(2人以上世帯)2019年」より)


「家計の金額行動に関する世論調査(2人以上世帯)2019年」をもとに作成(単位:万円)

実際にFP相談に来られるパワーカップルの保険契約について見てみると、経済的なゆとりがあるせいか、保険契約の件数がやや多い方もいます。
とりわけ目立つのが、終身保険・養老保険・個人年金保険・外貨建て保険・変額保険など貯蓄性保険への加入です。その加入理由を尋ねると、異口同音に「銀行に預けておくよりはましだから」という回答が返ってきます。

銀行や郵便局にお金を預けても、ほとんど利息がつかない状況が長年続いています。
貯蓄性保険への加入目的は、「過度な期待はしていないけれども、ひょっとしたら多少はお金が増えるかもしれないから」、ということです。
このように、貯蓄代わりに保険を利用する方がとても多いのです。死亡した時などの保険機能だけでなく、貯蓄性を兼ねていることが人気の理由のひとつです。

しかし、多くの貯蓄性保険は契約後、早期に解約をすると元本割れを起こすおそれがあります。急にまとまった現金が必要になり、やむを得ず中途解約をして損失を被ったことがある方もいることでしょう。
流動資金である現金をある程度手元に準備しないまま、過度に貯蓄性保険に加入してしまうと、このような事態になってしまいます。

また、パワーカップルは医療保険やがん保険、収入保障保険などにも漏れなくしっかり加入しています。特約を多めにつけて保障を手厚くし、そのために毎月の保険料が高額になってしまっている方もいます。
販売窓口や営業マンにすすめられたプランで入った、という方が圧倒的に多いようです。保険は用語や保障内容の説明がやや複雑で難解なところがあるので、熟考せずに加入を決めてしまう事もままあるようです。

NEXT:「タイプ別 貯蓄性保険の組み合わせ例」

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小河 由紀子

FPオフィスOgawa 代表・ファイナンシャル・プランナー(CFP®)・終活アドバイザー 独立系FPのためのプラットフォーム会社に所属。 「お金に振り回され...

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