マイナス金利開始から2年!今後の動向は?

貯金・家計

2016年2月に日銀がマイナス金利を開始して2年が経過しようとしています。
今回は、改めてマイナス金利がもたらす預貯金金利、住宅ローン金利、株価の変動等の私たちの生活への影響と今後の動向について見ていきます。

そもそも「マイナス金利」とは?

日本銀行はマイナス金利導入のかなり前から低金利を続けていましたが、さらに金利を引き下げる目的で2016年2月にマイナス金利を導入しました。

マイナス金利政策でマイナス金利が適用されるのは民間の銀行が日本銀行に預けている一部のお金であり、個人の預貯金に適用されるというものではありません。
マイナス金利導入前は、民間の銀行は、日本銀行にお金を預けておくことで金利が受け取れていました。しかしマイナス金利導入後は、対象は一部の預金に対してですが預け入れ側の民間の銀行が金利を支払うことになりました。

なぜ、日本銀行が、このようなマイナス金利を導入したのかというと、お金を借りやすく、使いやすくして景気を良くすることを目的としています。

日本銀行の狙いは、マイナス金利を導入することで民間の銀行は金利を払ってまでも日本銀行にお金を預けようとはしなくさせ、銀行は企業への貸し出しや投資に資金を増やすようになるだろうとの思惑からです。

マイナス金利の預金、保険への影響

マイナス金利政策により日本銀行は経済の活性化を目指しているわけですが、私たちの日常の生活にも影響が及んでいます。

まずはデメリットから。

預金金利はマイナス金利導入後、普通預金は0.02%ほどだったものが0.001%まで下がりました。定期預金(300万円未満)も今では0.01%という水準でマイナス金利導入前の普通預金より低金利となっています。

さらに2017年末には三菱東京UFJ銀行等の3メガバンクが口座維持にかかる費用として顧客から「口座維持手数料」を徴収することを検討し始めているというニュースがありました。まだ1年ほどかけて慎重に検討するとのことですが、1年後には銀行にお金を預けておくだけで手数料がかかるようになっているかもしれません。

保険会社で扱う、これまで貯蓄として使われていた学資保険や個人年金保険、養老保険もマイナス金利の影響で貯蓄性としての魅力は低下しています。契約内容によっては元本割れを起こす商品も少なくありません。また保険会社自体が貯蓄性のある商品の販売停止という動きが進んでいます。

普通預金や定期預金は中途解約しても元本割れはありません。しかし特に、これから加入される保険は中途解約すると、貯蓄性があるとうたっている商品でも元本割れの可能性が大きいです。さらに預金同様、満期まで金利が固定されますので、現状の超低金利下での貯蓄商品の選択肢としては外しておいていいでしょう。

次にメリットについて。

住宅ローンへの影響

マイナス金利はお金を借りる際にはメリットとなります。実際、マイナス金利導入後の約半年後の長期固定住宅ローン「フラット35」の金利は0.9%(返済期間21年以上35年以下、融資割合9割以下)を記録し過去最低となりました。2018年1月の直近の金利も1.08%(団信保険料0.28%分は除いて計算)の低水準で推移しています。

今後の動向

米国や欧州も日本同様リーマンショック以降、低金利政策を導入して景気刺激策を導入しました。米国は景気回復を背景に少しずつですが金利引き上げを始めています。
日本も2012年12月から5年を超えて景気拡大を続けていますが、まだ金利を正常な状態に戻すほどの判断レベルには至っていないとの判断のようです。

日本も景気が良くなったと日本銀行が判断できるレベルになれば米国同様金利引き上げを行うと考えられますが、それがいつなのかは読めません。
今は、今後の動向を観察しながら、マイナス金利のメリット面を上手く活用し、デメリット面を補う資産形成を考える時期なのだと思います。

小林 裕子

ひろファイナンシャルプランニング代表 CFP ・1級FP技能士 2008年FP相談業務開始。 2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切...

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