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【Z世代のマネー学】人間は損したくないのに損する行動を取ってしまう?1から学ぶ「行動ファイナンス」

人間は損したくないのに損する行動を取ってしまう?1から学ぶ「行動ファイナンス」
マネーケア

損するのが嫌という気持ちが判断を誤らせる「プロスペクト理論」

プロスペクト理論とは、「損するのは嫌」という気持ちが合理的な判断を誤らせるというものです。代表的なものを紹介します。

心の会計

心の会計は、出所・保管場所・使い道によってお金を分類し、扱い方を変える傾向のことです。

働いて稼いだ100万円もギャンブルで手にした100万円も、同じ100万円のはずです。しかし、働いて稼いだ100万円は大事にしようと思う一方、ギャンブルの100万円は日頃できない贅沢に使ってしまう傾向があります。「あぶく銭効果」とも呼ばれます。
また、旅行先などで「せっかくだから」と買い物してしまう人も要注意。せっかくの機会を逃して損したくないと思って無駄なものを買い、かえって損する可能性があります。

損失回避

「絶対に10万円当たるくじ」と「50%の確率で20万円当たるくじ」なら、どちらを引きたいですか。

おそらく多くの方が「絶対に10万円当たるくじ」でしょう。しかし、どちらのくじも得られる金額の期待値は10万円。
人は、儲かったときの喜びよりも損したときの悲しみのほうが強く感じるものなので、それを避けようとするのです。これを損失回避の非対称性といいます。

「1万円損した」ときの悲しみは「1万円儲かった」ときの約2倍といわれています。

サンクコスト

サンクコストは、すでに支払ってもう戻ってこない費用のこと。日本語では埋没費用と呼ばれます。

たとえば、見にいった映画がつまらなかったとしても、映画のチケット代金を取り戻すことはできません。もし合理的に判断するなら、早々に映画館を出て時間を別のことに使ったほうが有意義です。
しかし、映画のチケット代金がもったいないからといって、最後まで映画を見てしまう人も多いでしょう。これがサンクコストです。

投資でも、大きく値下がりしているにもかかわらず「せっかくここまで投資したのにもったいない」といって、ずるずると投資を続けた結果、損をしてしまうことも。注意したいコストです。

行動ファイナンスはマーケティングと同じ

行動ファイナンスの考え方は、投資の世界だけでなく、マーケティングでもよく使われています。お客さんは誰しも買い物で得をしたいのです。それを知っている店側は、さまざまなお得の罠を仕掛けています。

たとえばバーゲンなどである「半額セール」。「定価10万円のかばんが半額の5万円」などとあれば、思わず買いたくなるでしょう。でもこれは先に「10万円」を示してから「5万円」を示して安く見せるというアンカリング効果を狙ったものです。価格に見合った価値があるのか、最初から5万円なら買ったのかなど、よく吟味したほうがいいでしょう。

「3品買うと20%オフ」「お肉は大容量のパックがお得」など、まとめ買いにも要注意。確かに一見安く感じますが、使わないものを無理やり買って、結局使わなかったり食べ切らなかったりしては結局損です。惑わされないように注意しましょう。

さらには「送料無料」「駐車代無料」「ポイントが手に入る」などにも要注意。これらのために余計に買い物するよりも、本当に必要なものだけを買った方が安上がりに済むことが多いからです。

行動ファイナンスの観点から、投資で取りがちな非合理的な行動・お得の罠を紹介してきました。これらの罠にはまらないようにするには、「自分にとって価値があるのか」をよく考えることが重要。
投資も買い物も、最後は自己責任です。ですから、責任を持って取り組めるよう、よく考えましょう。

【ミレニアル世代のマネー学】アノマリーってなに?行動ファイナンスとの深い関係

頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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