【Z世代のマネー学】「リターン」「リスク」という言葉を正しく理解している?

「リターン」「リスク」という言葉を正しく理解している?
マネーケア

銀行にお金を預けても、お金はほとんど増えません。ミレニアル世代・Z世代と呼ばれるみなさんがこれからお金を増やしたいならば、投資をすることが欠かせません。
投資をすれば、銀行の預金よりも大きな「リターン」が得られる可能性があります。しかし、投資には同時に「リスク」があります。

みなさんは、投資のリターンとリスクの意味を、正しく理解していますか?
今回は、投資をする上で必ず知っておくべき「リターン」「リスク」という言葉について、詳しく説明します。
▶︎前回「日本人の資産は20年でいくら増えた? お金の置き場所を考える」

「リターン」という言葉、本当に理解していますか?

「リターンって、儲けのことだよね」
はい、確かにその通りです。リターンとは、投資をすることで得られる「収益」または「収益率」のこと。リターンという言葉は、たとえば100万円投資して、1年後に105万円まで増えたとき、「5万円のリターンがあった」「1年間で5%のリターンが得られた」という具合に使います。

しかし、これから投資をするならば、もう少し詳しく知っておきましょう。
投資を行うことで得られるリターンは、全部で3種類あります。

①プライスリターン(キャピタルゲイン・ロス)

プライスリターンは、投資した資産(株式や投資信託、債券など)が変動することで得られるリターンです。なお、プライスリターンはマイナスになることもありますので、価格変動損益、キャピタルゲイン・ロスとも呼ばれます。

プライスリターンは、持っている資産を売ったときに確定します。
買ったときより値上がりしているときにその資産を売れば、売値と買値の差額がプラスのプライスリターンになります。逆に、買ったときより値下がりしているときに売ると、売値と買値の差額がマイナスのプライスリターンになる、というわけです。おそらく、投資の利益としてイメージしやすいリターンでしょう。

②インカムリターン(インカムゲイン)

インカムリターンは、資産を持っていることで得られるリターンです。たとえば、株式の配当金、投資信託の分配金、債券や預金の利息などがあり、インカムゲインとも呼ばれます。
インカムリターンは、資産を持っていれば自動的に受け取れます。株式の配当金は、年に数回(多くは2回)、株主に会社の儲けの一部が支払われます。投資信託の分配金も同様です。また債券や預金の利息は、あらかじめ決められた利率にしたがって支払われます(配当金や分配金、利息がない場合もあります)。

③トータルリターン

そしてトータルリターンは、プライスリターンとインカムリターンを足したリターンです。通常、投資のリターンはトータルリターンで示します。

リターンの種類

リターンの種類

リターンでよく出てくる「利子」「利息」「金利」「利回り」の言葉の違いに注目

投資の世界ではよく「利子・利息・金利・利回り」という言葉が出てきます。しかしながら、使われ方が微妙に異なります。

「利子・利息」と「金利・利回り」の2つのグループに分けて考えるとわかりやすいでしょう。

利子と利息は、どちらも「金額」を表す言葉です。主にお金の貸し借りをした際に払う(払われる)対価のことを指します。たとえば、銀行にお金を預けると、年2回の利子(利息)が支払われます。利子と利息の意味は、ほとんど同じです。

一方、金利と利回りは、どちらも「割合」を表す言葉。利子や利息を計算するための割合です。

このうち、投資で知っておきたいのは利回りです。利回りは、投資額に対して増えた(増える見込み)の年間収益(年間ベースのトータルリターン)の割合を指す言葉です。

たとえば、100万円の株を購入して配当金を3000円受け取り、1年後に105万円で売却した場合のトータルリターンは50,000円+3,000円=53,000円、利回りは53,000円÷100万円×100=5.3%となります。

単利と複利の違いを意識…複利効果を活用しよう

利息の計算方法には、利息を元本に組み入れない「単利」と、利息を元本に組み入れる「複利」の2種類があります。このうち、お金を増やしたいならぜひ活用すべきなのが複利です。複利では、利息を組み入れた元本に対してさらに利息がつくため、長期で取り組むほど雪だるま式にお金が増える可能性があります。

複利効果は、長くなるほど大きくなります。
たとえば、毎月10万円を30年間積み立てると、元本は300万円になります。このとき、仮に利回り3%で増やせたとすると、単利の場合は約440万円になるのに対し、複利では約490万円にもなります。単利と複利では約50万円もの差が生まれるのです。運用益を積立金に組み入れ、複利効果で時間を味方につけることで、コツコツとお金を増やせる、というわけです。

毎年10万円を利回り3%で運用した場合の元利合計(税金・コストは考慮せず)

単利と複利

複利を生かした投資は、一見地味に見えるかもしれません。しかし、そう思った方は要注意。行動経済学の世界では「見えない数字の過小評価」といって、こうした計算しないとわからない複利効果のメリットを無視しがちだからです。お金を増やすための合理的な選択ができるようにしましょう。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理業務に従事。...

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