こんな人はNG! ゲーム感覚で始めるアプリ投資

マネーケア

新型コロナウイルスの影響で、証券会社への口座開設が拡大しているようです。2020年3月には、SBI証券、楽天証券ともに新規口座開設数(月間)が過去最高になったと発表されました。将来に不安のあるなか、お金を少しでも増やそうという意識が働いた証拠でしょう。
とはいえ、何も知らずに投資を始めると、大変なことになるかもしれません。米国では、投資に無知だったばかりに、自殺者まで出ているのです。

今回は、投資アプリ「ロビンフッド」の事例を通じて、投資をする際に注意すべきこと、理解しておくべきことを紹介します。

投資アプリ「ロビンフッド」とはどんなアプリか

日本でも近年、スマホで手軽に投資できる「スマホ証券」や「ポイント投資」のアプリが次々に登場。簡単に投資できるとあって、話題になっています。海外でもそれは同じです。

「ロビンフッド」(Robinhood)は、米国生まれの投資アプリ。株式やETF(上場投資信託)、オプション、仮想通貨(暗号資産)の売買ができます。操作はとても簡単で、ワンタップで売買することが可能です。そのうえ、少額から取り組めて売買手数料も無料。SNSの機能もあります。

そして、何より大きな特徴が、まるでゲームのように簡単そうなその見た目です。投資家向けに細かな情報を説明するのではなく、誰でもとっつきやすいシンプルな情報だけになっています。口座開設の特典として、画面に表示されたスクラッチを削ると、「おめでとう」の文字とともに花吹雪が舞い、株がプレゼントされます。

そんな手軽さも手伝って、ロビンフッドはいわゆる「ミレニアル世代」と呼ばれる20代〜30代の間に急速に広がりました。すでに利用者は1300万人を突破、米国株式の上昇にも一役買っているといいます。

しかし、急成長の影で事件が発生しました。2020年6月、ロビンフッドでオプション取引をしていた20歳の米国人男性が自殺してしまったのです。報道によると、彼の遺書には「自分が何をしているのかわかっていなかった」と記されていたと言います。彼のスマートフォンにはマイナス約73万ドル(7,800万円)の残高が表示されていました。

実は、彼はそんな多額の取引をしたわけではないようです。この残高は実際の借金の額を示すものではなく、オプション取引の「暫定残高」と呼ばれる数字だったと見られています。つまり彼は、よくわからないままに取引した結果、借金をしたと勘違いして自殺してしまったと考えられています。

オプション取引は先物取引の一種で、簡単にいうと「将来のある日にあらかじめ取り決めた条件で売買するという”権利”を売買する取引」。詳細は割愛しますが、確かに株式投資よりも複雑です。しかし、少なくとも「何に投資しているのか、どこに投資しているのか、リスクに見合ったリターンが得られるのか」といったことが理解できていれば、このような悲劇は起こらなかったと考えられます。

金融商品ごとの特徴・リスクやリターンをしっかりと理解する

株式・債券・外貨・FXなど、私たちが投資できる金融商品はいろいろあります。これらの金融商品には「リスク」があります。とはいえ、投資の世界でいう「リスク」とは、「危険性」のことではなく「リターンのブレ幅」のことを指します。リスクとリターンはトレードオフの関係(比例の関係)があります。リスクが大きいほど、大きく儲かる可能性も損する可能性もある、というわけです。

投資資産のリスクとリターン


図:筆者作成

たとえば、預貯金は原則として元本保証があるため、その範囲内であれば減ることはありません。しかし逆に、特に現状は金利がとても低いため、ほとんど増えることもありません。したがって、ローリスク・ローリターンだというわけです。

反対に株式投資の場合は、購入する銘柄によっては元値の2倍、3倍…と値上がりすることもあります。しかし同時に、会社が倒産してしまえば最悪の場合投資したお金がゼロになってしまうこともありえます。そのため、比較的ハイリスク・ハイリターンだということができます。

なお、「ローリスク・ハイリターン」という金融商品はありません。リターンを得ようと思ったら、相応のリスクをとることが求められます。ですので、金融商品ごとの特徴・リスクやリターンをしっかり理解して、どんな投資をするのかを考える必要があります。

自分が取れるリスク(リスク許容度)を考える

リスクやリターンは、金融商品だけで決まるものではありません。
金融商品を選ぶ際に大切なのが、自分がどれだけリスクに耐えられるかを表す「リスク許容度」です。リスク許容度は、その人の年齢や収入、運用資産や投資経験など、さまざまな要因によって大きく異なります。

投資におけるリスク許容度


図:筆者作成

たとえば、100万円を投資する際、この100万円が「1年後に50万円になっても大丈夫」という人もいれば、95万円になっただけでも「ショックで耐えられない」と感じる人もいます。もちろんお金が減るのは誰でも嫌なものですが、感じ方は人それぞれだと思います。

年齢によっても変わってくるでしょう。20代でシングルのうちは、基本的に扶養する家族がいないので責任が少なく、もし、運用が失敗したとしても長い人生で取り戻すチャンスはたくさんあります。反対に50代で子供が大学生という場合、教育費がかさみ毎月の家計に余裕がない上に、定年も視野に入ってくるとなると、少しでも損をしたら切実な問題です。

いくらリターンの大きそうな金融商品でもリスク許容度の低い人は購入すべきではありません。リスク許容度にあった金融商品を選ぶべきなのです。

レバレッジのリスクを理解しておく

金融商品のなかには、レバレッジをかけられるものがあります。
レバレッジとは、日本語で「てこ」のこと。元手より多くの金額の投資が行えることから、このような名前がついています。

たとえば、FX(外国為替証拠金取引)では、10万円をFX会社の口座に入れることで、最大25倍、250万円分の外貨取引ができます。レバレッジを25倍かけることで、単純に利益は25倍になります。資金効率をよくできるのがレバレッジのいいところです。

しかし、思惑に反して出た損失も25倍になります。つまり、少額の資金でも大きなリターンを狙える反面、大きな損失となる可能性があります。

レバレッジは諸刃の剣です。「つい勝負に行きたくなってしまう」というような方は特に危険。レバレッジをかけすぎることのないよう、十分注意しましょう。

続いて、投資でやってはいけない5つのことをご紹介します。

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頼藤 太希

(株)Money&You代表取締役/マネーコンサルタント 慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Mone...

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