アメリカGDP大幅悪化!日本への影響はどうなる?

マネーケア

アメリカの2020年第2四半期(4-6月期)のGDPが、コロナで過去最悪の32.9%減※1(年率換算)になったと報道されました。1947年の統計開始以来の数字で、過去5年間の経済成長がたった3か月で失われたことになります。GDPというと、統計の数字なので難しく感じるかもしれませんが、一度理解してしまえば、経済の動向に興味が持てるようになるでしょう。
※1:JIJI.COM「欧米、急激な景気悪化 新型コロナの傷跡深く―4~6月期」

GDPってどんなもの?

GDPは、簡単にいうと1年間に国内で生産されたモノやサービスの合計額で、「国内総生産」と呼ばれています。GDPには「名目GDP」と「実質GDP」の2つがあります。名目GDPは物価変動を反映していない数値で、その時の市場価格で評価したものになります。一方、貨幣価値の変化を考慮した上で補正したものが「実質GDP」になります。補正することで、過去とくらべてどのくらい成長しているかを正確に測ることができます。

GDPの内容を詳しくみると、消費と投資を合わせた民需と政府支出に貿易収支(輸出額から輸入額を差し引いたもの)を加えたものになります。

GDP=民需(消費+投資)+政府支出+貿易収支

GDPは、景気を判断する代表的な指標であり、投資判断の材料にもなります。GDPの伸び率は「経済成長率」を示しています。

アメリカ2020年第2四半期の経済状況

2020年のアメリカ経済は、1-3月期がマイナス5.0%、4-6月期がマイナス32.9%の成長率になりました。2008年のリーマンショック後の10-12月期がマイナス8.4%※2だったことからすると、衝撃の大きさがわかるでしょう。コロナの感染者拡大が景気を圧迫しています。
非常に深くて暗い穴が開いたような落ち込みなので、抜け出すには長い時間がかかるだろうといわれています。

特にコロナの感染拡大を受けた外出禁止措置で、ヘルスケア、飲食・サービス・宿泊、娯楽サービスは大きな痛手を受け、個人消費が34.6%も減少しています。過去には1950年10-12月期がマイナス11.5%でした※3から、個人消費についても記録を更新する結果となりました。

次のグラフは年単位でのGDPの推移です。2009年の落ち込みは、リーマンショックによるものです。

GDP成長率の推移


資料:外務省「米国経済と日米経済関係」2020年より引用

輸入や輸出についても、統計開始以来最大の減少幅になっています。輸出はマイナス98.5%、輸入はマイナス95.3%となりました。

IMF(国際通貨基金)によれば、2018年の世界の名目GDPにおいて、アメリカは約20兆米ドルで世界第1位です。2位は中国、3位は日本※4となっています。全世界に対するアメリカのGDPの構成比率も世界の23.9%※5を占め、世界でダントツの地位にあります。今や経済活動は地球規模なので、経済大国アメリカの景気動向は他の諸外国にも国境を越え、簡単に波及してしまいます。
※2、3:日本経済新聞「米GDP、コロナで過去最悪の32%減 4~6月期年率」 ※4:GLOBAL NOTE「世界の名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)2018年 ※5:外務省「米国経済と日米経済関係」2020年

日本のGDPもコロナの影響で戦後最悪

内閣府の発表によれば、日本の2020年4-6月期のGDPは、年率換算でマイナス27.8%になりました。実質GDPの減少幅が大きかった四半期は(前期比年率)

実質GDPの減少幅が大きかった四半期


表:筆者作成

となっており、今回の発表は戦後最大の下げ幅になりました。

GDPのうち、個人消費は約6割を占めます。その個人消費は前期比8.2%減、設備投資は1.5%減りました。
個人消費はモノとサービスに分けられます。過去には、モノの消費の方がサービス消費にくらべ変動率が大きかったのですが、外出自粛のため、旅行や外食などのサービス消費が前期比12.7%(年率換算42.0%)もの落ち込みでした。モノの消費減少率は前期比で3%台の減少率ですので、過去にはない状況です。コロナの感染リスクを考えると、以前のような人出の回復は難しいという意見が大半です。

輸出は18.5%減り、下げ幅はリーマンショックに次ぐ大きさで、自動車の輸出減に加え、訪日客の消費がなくなった影響が大きく響いています。

コロナ感染症による急激な経済の落ち込みとなったため、GDPがコロナ前の水準に回復するのは、2022年以降との意見もあります。

日本の経済成長率の推移


資料:GD Freak!「GDP(暦年系列)」をもとに筆者作成(基準年は2011年)

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池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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