外国人のお金事情 預金・投資・年金…世界と日本はどう違う?

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老後資金を準備し始めるタイミングの違い

金融資産のうちの老後資金についても、国ごとに意識の差があります。

「リタイア後の生活費と資産運用」(日興コーディアル証券/2004年)では、リタイア後の意識について調査しています。その中でリタイア後の生活について、「楽しみだ」という人は日本では30.7%であるのに対して、アメリカでは59%にのぼります。
逆に「憂うつだ」「夢は特にない」という人が、日本では4人に1人の割合に達しています。

「アーリーリタイア」という言葉もあるように、60代の定年を待たずに仕事生活に終止符を打つことが夢だという人もいます。アメリカのように老後が楽しみであれば、何をしようかと目標もできるし、資産を大きくしたいと意欲も湧きますね。

次に「いつから老後資金を準備したか」について見てみましょう。こちらは、AXA「第5回リタイアメントスコープ2010」を参考にしました。
この調査では、日本の就労者の93%の人が退職後に向けて準備を始めている、もしくは準備を始める予定と答えています。しかし、実際に準備を始めている人は35%と意識が高い割には、行動が伴っていない傾向があります。

実際に老後資金の準備を始めている人の年齢と、準備を始めていない人にはこれから準備を始める予定を聞いたところ、日本では準備開始年齢が38歳、準備開始予定が51歳でした。
これに対して、米国では準備開始年齢が31歳、準備予定年齢が45歳です。英国では準備開始年齢が29歳、準備予定年齢が48歳と、日本の場合にくらべて早い時期から退職後の準備を始めていることがわかります。

準備を始めた理由にも特色がありました。30歳・40歳・50歳と節目の年齢に近づいたからという他に、「企業年金があると知ったから」という理由が米国、英国ともに上位になっていました。どんな制度なのか知るだけではなく、実際に始めることが資産形成には欠かせないというわけです。

まとめ

「お金を増やしたい」と思っていても、思うだけでは実現できません。また、超低金利のご時世では預金をどんなにがんばって貯めたとしても、増やすことは困難です。さらに、何らかの影響で物価が上がっていく局面では、現預金では対応できず、「目減りするリスク」にさらされてしまいます。

お金の知識をどんどん増やすことや、意識を劇的に変えることは、なかなか難しい話です。とはいえ、行動しないと何も人生は変わりません。海外の例を参考に、10年後・20年後の将来のために、長期視点を持って投資に取り組んでみることです。
まずは行動を起こし、行動しながら意識を高めていきましょう。

池田 幸代

株式会社ブリエ 代表取締役 証券会社に勤務後、結婚。長年の土地問題を解決したいという思いから、宅地建物取引士、ファイナンシャルプランナー(AFP)を取得。不...

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